大阪からひと駅。 そこはもう、別の時間が流れている。 派手さはない。 でも、路地に入るたびに何かが見つかる。 再建された城が空に白く浮かんで、 商店街では揚げたての匂いが漂って、 昔ながらの市場には生活の音がある。 観光地というより、まちそのものを歩く感覚。 それが尼崎だ。
尼崎のおすすめスポット
尼崎城|白い天守が、工場地帯の空に浮かんでいた
正直、期待値は低かった。
再建されたお城、と聞いて少し構えている。
でも実際に近づいたら、なかなか堂々としている。
白壁の天守が青空に映えて、思いのほかきれいだ。
入館料は500円。
内部はデジタル展示が中心で、甲冑の試着体験もある。
子どもたちが目を輝かせている。
尼崎が城下町だったという事実に、ここで初めて気づいた。
江戸時代、この場所に確かに城があった。
1615年の築城から明治まで続いた歴史が、
再建された建物の中に丁寧に詰め込まれている。
最上階からの眺めが意外とよかった。
阪神沿線の景色が広がって、
遠くに六甲の稜線が見える。
ここが兵庫なんだと、妙に実感した。
城の足元には小さな公園があって、
散歩している地元の人たちがいた。
観光地というより、まちの一部になっている場所だ。
でんがなまんがな|昼から飲んでいる人たちが、楽しそうだ
「でんがな」「まんがな」は関西弁の語尾だ。
そのまま商店街の名前になっている。
ネーミングのセンスで、もう好きになった。
アーケードを歩き始めたら、すぐに匂いが来た。
ソースの焦げた香り。
たこ焼き屋の前に並んでいる人たちがいた。
6個で350円。
買って、その場で食べた。
外はかりっと、中はとろとろ。
これが正解だ。
昼の12時過ぎには、もう串カツをつまみながらビールを飲んでいるおじさんがいた。
観光客ではなく、完全に地元の人だ。
そのゆるさが、むしろ心地よかった。
惣菜屋、乾物屋、服屋、金物屋。
昔ながらの商店がごちゃまぜに並んでいる。
全部の店に顔がある。
チェーン店がほとんどないのが、特別だ。
30分のつもりで入ったら、1時間以上歩いている。
そういう商店街だ。
三和市場|昭和がそのまま残っている、という感じではない。生きている
三和市場に入ったのは午前11時ごろだ。
まだ準備中の店もあったが、すでに人がいた。
天井が低い。
通路が狭い。
売り場が近い。
そのぜんぶが、なぜか安心感につながっている。
鮮魚店のおばちゃんが、常連客と値段交渉している。
豆腐屋の店先に、木綿と絹ごしが並んでいる。
精肉店のコロッケが、1個50円だ。
もちろん買った。
うまかった。
ここで面白かったのは、外国人の観光客が何人かいたことだ。
スマホで写真を撮りながら、目を丸くしている。
たしかに、こういう市場は海外の人には刺さるだ。
三和市場は1947年創業と聞いた。
戦後まもなくから続いている場所だ。
でも古びた感じがしないのは、ちゃんと人が使っているからだ。
観光地ではなく、生活の場。
でもよそ者でも、歩くだけで楽しかった。