冬の城崎温泉は、別格だ。 下駄の音が石畳に響いて、湯気が路地に漂う。 浴衣一枚で外湯をはしごする文化が、ここにはある。 「外湯めぐり」という言葉の意味を、体で理解した旅だ。
城崎温泉のおすすめスポット
さとの湯|駅を降りたら、まずここへ
城崎温泉駅を出て、徒歩30秒。
そこにさとの湯はある。
外湯の中で一番広くて、一番新しい。
2000年にできた施設で、露天風呂からは山が見える。
料金は800円。
タオルは持参するか、200円で購入できる。
到着初日、荷物を宿に預けてそのまま飛び込んだ。
サウナもある。
長旅の疲れが、じわじわと溶けていく感じがした。
1階は和風、2階は洋風の浴室に分かれている。
日替わりで男女が入れ替わるので、滞在中に両方入れる。
それに気づいたのは2日目の朝だ。
外湯めぐりのスタート地点として、ここを選んで正解だ。
一の湯|江戸時代から続く、城崎の顔
城崎温泉の外湯の中で、一番格式がある。
「天下一の湯」と称されてきた歴史は、江戸時代にまでさかのぼる。
正面の唐破風造りの建物は、写真で何度も見ている。
実際に目の前に立つと、想像より重厚だ。
中に入ると洞窟風呂がある。
岩に囲まれた空間に、薄暗い照明。
温度は少し低めで、ゆっくり浸かれる。
夜に来て正解だ。
他の外湯を回って、最後にここに来た。
混雑も落ち着いていて、一人でゆっくりできる。
料金は800円。
外湯めぐり券(1200円)を使えば、全7つの外湯に入り放題になる。
2つ以上入るなら、絶対にめぐり券を買うべきだ。
冬の夜、浴衣で石畳を歩いて一の湯に向かう時間が、城崎の本番だ。
まんだら湯|路地の奥にある、静かな湯
七つの外湯の中で、一番地味だ。
でも、一番好きになった外湯がここだ。
奈良時代、温泉寺の開祖・道智上人が曼陀羅を埋めて祈祷したことが名前の由来だという。
歴史が長い分、落ち着いた空気がある。
建物は昭和の銭湯みたいな雰囲気で、派手さがない。
だからか、観光客より地元の人が多い気がした。
浴槽は2つだけ。
シンプルな造り。
湯温はやや高め。
ここに来た時間は平日の14時ごろだ。
先客は3人。
静かに入って、静かに出た。
まんだら湯を好きになる人は、城崎の本質に近づいている気がする。
観光地でありながら、生活の湯でもある。
その両方の顔を、この外湯は持っている。
竹田城跡|雲の上に城があった
城崎温泉から車で約40分。
竹田城跡へ向かった。
「天空の城」という言葉をよく聞く。
でも実際に来るまで、その意味がわかっていない。
朝4時に宿を出た。
真冬の気温は2度。
展望台まで歩いて約20分。
懐中電灯を持って、暗い山道を登った。
夜明け前に到着した。
雲海が、足元に広がっている。
城の石垣だけが、霧の上に浮いている。
言葉を失った。
本当に、言葉が出ない。
雲海が見られるのは10月〜1月の早朝。
気温が低く、前日に雨が降った翌朝が狙い目だ。
駐車場から山頂まで、冬は凍結している箇所もある。
滑り止めの靴と、防寒着は必須だ。
ここに来るためだけに、もう一度城崎に来てもいいと思っている。
余部橋梁|海の上に、鉄の橋が立っている
城崎温泉から電車で約30分。
JR餘部駅で降りた。
余部橋梁は、1912年に完成した鉄橋だ。
高さ41メートル。
長さ310メートル。
数字で聞いてもピンとこない。
実際に橋の上に立ってみて、初めて理解した。
足元が透けている。
眼下に日本海が広がっている。
風が強くて、立っているだけで足が震えた。
旧橋梁のうち3本の橋脚が残されていて、「空の駅」として整備されている。
エレベーターで上まで登れる。
2010年に新しいコンクリート橋に架け替えられた。
新旧の橋が並んでいる場所は、世界でもここだけだ。
1月の夕暮れ時に来た。
鉄の橋が夕日に染まっている。
廃線跡や旧橋梁が好きな人間にとって、ここは聖地に近い。
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