奈良の山奥に、こんな場所があったのか。 バスを降りた瞬間、空気が変わった。 杉の匂いと、川の音と、静寂。 洞川温泉は標高820m。 修験道の聖地として、1300年以上続く場所だ。 観光地というより、修行の場。 それでも、ここに惹かれる人が後を絶たない。
洞川温泉のおすすめスポット
龍泉寺|修行者たちが水を飲み続けてきた、その場所に立つ
境内に入る前から、空気が違う。
参道の石畳を踏むたびに、足が少し重くなる気がした。
龍泉寺は役行者が開いたとされる古刹だ。
奈良時代から、大峰山に向かう修験者たちが必ずここで身を清めてきた。
その歴史が、ここには確かに残っている。
境内の中心にあるのが「龍の口」から流れ出る御神水。
冬でも枯れない。
温度は年中8度前後で、口に含むと芯から冷たかった。
参拝料は無料だが、御神水を持ち帰るための容器が売店で300円ほどで買える。
ペットボトルに汲んで帰る地元の人を何人も見た。
朝8時頃に行くのがいい。
人が少なくて、鐘の音だけが境内に響いている。
そういう時間に、こういう場所にいると、何かが少しだけ整う感じがする。
観光じゃなくて、参拝だと思って訪れてほしい。
大峰山(山上ヶ岳)|1300年間、女人禁制が続く霊峰へ
登ったのは11月初旬だ。
正直、なめている。
洞川温泉から登山口まで徒歩約40分。
そこからさらに山頂の大峰山寺まで約2時間半かかる。
標高1719m。
累積標高差は700m以上ある。
道中、白装束の修験者と何度もすれ違った。
彼らは法螺貝を吹きながら登る。
その音が山に響くたびに、ここは観光登山じゃないと思い知らされる。
山頂に近づくと、「西の覗き」という断崖絶壁がある。
修行の一環として、崖から体を乗り出す場所だ。
見ているだけで足がすくんだ。
山頂の大峰山寺に着いた時は午後1時を過ぎている。
霧が出ていて、社殿がぼんやり見える。
その瞬間だけは、何かに守られている気がした。
注意点は二つ。
女性は山上ヶ岳に入れない(女人禁制は今も続いている)。
そして10月下旬から4月下旬は閉山する。
時期を必ず確認してから計画を立てること。
面不動鍾乳洞|地中の冷気が、冬でも体温を奪っていく
入口に立った時、冷気が顔に当たった。
外気温が5度だったのに、洞内はさらに寒い。
年間を通じて8度前後らしい。
面不動鍾乳洞は全長約300m。
洞川温泉街からモノレールで上がる。
片道150円、所要2分。
このモノレールがまた面白くて、急斜面を真っ直ぐ登っていく。
鍾乳洞の中は照明が最低限だ。
足元が滑りやすい箇所もある。
スニーカーよりトレッキングシューズがいい。
一番印象に残ったのは「ドラゴンの口」と呼ばれる鍾乳石の群だ。
数万年かけて形成されたと説明書きにあった。
人間の時間軸が、一瞬馬鹿らしくなる。
冬に来て正解だ。
夏は涼を求めて混むらしい。
冬は人が少なくて、静かに見られる。
洞内で白い息を吐きながら、ヘルメットをかぶって歩く30分。
ちょっとした探検気分で、子どもも大人も楽しめる場所だ。
出口でホットの葛湯が売っている。
200円。飲んで正解。
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洞川温泉への行き方
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