函館から車で2時間。 そこに、時間が止まったような町がある。 江差は、かつてニシン漁で栄えた港町だ。 「江差の五月は江戸にもない」と言わしめた繁栄は、今も石畳の道と古い商家に残っている。 派手さはない。 でも、歩くほどに何かが積み重なってくる。 そんな旅だ。
江差のおすすめスポット
いにしえ街道|石畳を歩くと、ニシン景気の残像が見えてくる
江差の中心部を南北に貫く、約750mの石畳の道。
観光地化された「古い街並み」とは、空気が違う。
実際に人が暮らしているから、生活の匂いがする。
平日の午前中に歩いたら、観光客はほとんどいない。
ほぼ独占状態で、ゆっくり歩けた。
江戸時代の商家が、そのままの形で残っている。
修復しすぎていない、という言い方が正しい。
ペンキが剥げた板壁、曲がった軒先。
そういうものが全部、本物だ。
路地に入ると、鰊蔵が数棟並んでいた。
にしんで儲けた豪商たちの倉庫だ。
今は静かに立っているだけだけど、最盛期にはここに何百人もの人が行き交っていたはずで、その規模を想像したらちょっとクラクラした。
歩くペースは、ゆっくりがいい。
30分で端から端まで行けるけど、2時間かけても全然足りない。
旧中村家住宅|200年前の商家に、ひとりで入り込んだ
いにしえ街道沿いにひっそりと立っている。
国の重要文化財に指定されている商家だ。
入館料は300円。
安すぎて、逆に心配になった。
中に入ると、係のおじさんが一人いて、あとは誰もいない。
江戸末期から明治初期の建物だという。
天井が高い。梁が太い。
ニシン漁で財をなした廻船問屋の家だから、造りがとにかく本気だ。
土間から座敷へ上がったとき、床板の感触が独特だ。
長年踏まれて、滑らかになっている。
その滑らかさだけで、200年という時間が伝わってきた。
奥の蔵にも入れる。
薄暗い中に、当時の道具や生活用品が展示されている。
ガラスケースに入れすぎていないのがよかった。
手を伸ばせば触れそうな距離に、過去がある。
そういう感覚があった。
30分で出てきたけど、もう一度入ればよかったと後悔している。
開陽丸記念館|海の底から引き揚げた船が、岸に刺さっている
江差の海岸に、軍艦が浮かんでいる。
いや、正確には「復元されて係留されている」のだけど、最初に見たとき本当に驚いた。
開陽丸は、幕末に榎本武揚が率いた旧幕府軍の軍艦だ。
1868年にこの沖で嵐に遭い、沈没した。
その後、海底から引き揚げた遺物を展示しながら、船自体を復元したのがこの記念館だ。
入館料は500円。
船の中に入れる。
甲板に出ると、風が強かった。
すぐ目の前が日本海だ。
開陽丸が沈んだのも、こういう海だったんだ。
船内の展示が想像以上に充実している。
引き揚げられた大砲、食器、靴。
乗組員の個人的な持ち物まで出てきている。
歴史の教科書に出てくる「箱館戦争」が、急に生々しくなった。
晴れた日の夕方に行くのがおすすめだ。
沈む日差しの中で見る開陽丸は、かなり絵になる。
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江差への行き方
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