北海道の道北、稚内からも遠い場所に、その山はある。 イソサンヌプリ。 アイヌ語で「岩の山」を意味するその名のとおり、ごつごつとした稜線が冬空に刺さっている。 人が少ない。リフトもない。整備された登山道もほぼない。 それでもここに来る人がいる。 来てしまう理由が、登ればわかった。
イソサンヌプリ山のおすすめスポット
イソサンヌプリ山|誰もいない、雪原のてっぺんで
標高1,322m。
数字だけ見ると、それほど高くない。
でも冬のイソサンヌプリは別物だ。
トレースがない日は、ひざ上まで雪に埋まる。
1歩踏み出すたびに、ズボッと沈む。
それを繰り返しながら、3時間かけて頂上へ。
着いた瞬間、声が出ない。
360度、遮るものが何もない。
利尻島が見える。礼文島も見える。
オホーツク海の白い水平線が、どこまでも続いている。
風が強い日はマイナス20度を超える。
それでも止まれない。
この景色を、誰とも分け合わずに独占している。
スノーシューかワカンは必携。
アイゼンだけでは厳しい場面もある。
ガイドなしで入るなら、天気予報と地形図は何度も確認すること。
登山口周辺|朝5時、誰もいない駐車場からすべてが始まる
幌延側の登山口に着いたのは朝5時40分。
車は1台も止まっていない。
気温はマイナス17度。
ドアを開けた瞬間、顔が痛い。
そういう朝だ。
ヘッドライトをつけて歩き始める。
樹林帯の中は風がなく、静かだ。
自分の呼吸音と、雪を踏む音だけ。
1時間ほど歩くと、木々が低くなる。
視界が開けてくる。
そこから先は、風との戦いになった。
装備の確認は駐車場で済ませておくこと。
手袋を外せる時間は限られている。
スマホのバッテリーは寒さで一気に減る。
モバイルバッテリーは内ポケットに入れておくべきだ。
登山口にトイレはない。
幌延市街のコンビニで済ませてから向かうこと。
幌延町の宿|下山後の温泉が、すべてを解放してくれる
下山して、車に戻ったのは午後2時過ぎ。
全身がきしんでいた。
幌延町の宿に入り、温泉に直行した。
「どんぐりの湯」まで車で15分ほど。
入湯料は550円。
体が溶けていくような感覚があった。
筋肉が、一気にゆるむ。
あの冷気の記憶が、じわじわと遠ざかっていく。
幌延町は小さな町だ。
飲食店は数えるほどしかない。
夜に開いている店は限られる。
事前に調べておくか、宿の夕食をお願いしておくのが正解。
翌朝、外を見たら新雪が10cm積もっている。
またあの山が変わった顔をしている。
もう一度登りたいと、素直に思った。
そういう山だ。
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イソサンヌプリ山への行き方
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