標高1,000mを超える稜線に、ただ白い世界が広がっている。 ウイーヌプリ。 名前を聞いてもピンとこない人がほとんどだ。 でも、あの雪原に立った瞬間、言葉を失った。 北海道の山は、冬に来るべきだと確信した。
ウイーヌプリのおすすめスポット
ウイーヌプリ山頂|誰もいない、1,000mの雪原に立つ
標高1,024m。
数字だけ見れば、そこまで高い山じゃない。
でも冬のウイーヌプリは別格だ。
摩周湖の西側に位置するこの山、夏は登山客もそれなりにいる。
冬はちがう。
スノーシューを履いて、トレースもない雪の斜面を自分で進んでいく。
出発は朝8時すぎ。
気温はマイナス15度。
息が白く固まって、すぐ消えた。
樹氷の間を抜けると、視界がいきなり開ける。
摩周湖が見える。
屈斜路湖も見える。
その奥に、知床の山並みまで。
誰もいない。
足跡は自分たちのものだけ。
それが、妙にうれしかった。
山頂で食べたカップラーメンが、なぜかものすごくうまかった。
あの味は、あの場所でしか出せない。
樹氷の森|音が消える、白い回廊
山頂だけが目的じゃない。
登りの途中で、足が止まった。
樹氷の森。
針葉樹がまるごと氷に覆われて、白い彫刻みたいになっている。
風もない。
音がない。
こんなに静かな場所に来たのは、いつぶりだろう。
木の枝が重さで垂れ下がって、トンネルみたいになっている箇所がある。
そこをくぐるとき、触れると崩れそうで、息をひそめた。
午前中の光が横から差し込むと、氷が青白く光る。
9時から10時の間がいちばんきれいだ。
曇りの日は曇りの日で、モノクロの世界みたいになって、それはそれでよかった。
スノーシューで歩くと、ザクザクという音だけが響く。
その音が、逆に静けさを際立てる。
写真を撮ろうとしたら、手がかじかんで、うまく操作できない。
そのくらい寒い。
でも、そのくらい本物だ。
摩周湖展望台|下山後に見る湖は、また別の顔をしている
ウイーヌプリから下りてきて、そのまま摩周湖第一展望台に寄った。
時刻は13時すぎ。
霧の摩周湖、という言葉がある。
この日は霧がない。
完全に凍っている。
湖面が鉛色に輝いて、動きがない。
夏に見る摩周湖とは完全に別の湖だ。
展望台には観光バスも来ている。
でも、山から降りてきた目で見ると、なんか違う風景に見える。
さっきあの稜線から見下ろした湖が、今度は目の前にある。
それだけで、感覚が変わる。
展望台の売店で、摩周そばを食べた。
700円。
温かかった。
体が一気に戻ってきた感じがした。
ウイーヌプリは、単体で来る山じゃない。
摩周湖、屈斜路湖、知床——この一帯の風景が全部つながって、初めて意味を持つ。
その中心に、あの山がある。
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ウイーヌプリへの行き方
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