地図で見つけたとき、正直なところ読み方もわからない。 オコツナイ岳。 北海道の道南、せたな町の奥にひっそりとある山だ。 標高は1,061m。 決して高くはない。 でも冬、この山が見せる景色は、想像をはるかに超えている。 誰もいない雪原に、自分の足跡だけが続いていく。 あの静けさは、他では味わえない。
オコツナイ岳のおすすめスポット
オコツナイ岳・冬の登山口|朝7時、誰もいない雪の入口に立つ
登山口に着いたのは朝7時すぎ。
駐車スペースには車が1台もない。
冬のオコツナイ岳に来る人間は、そう多くない。
それがいい、と思いながら準備を始めた。
気温はマイナス8度。
風はほぼない。
その日は運がよかった。
スノーシューを装着して踏み出した最初の一歩。
新雪がきゅっと鳴る音が、やけに大きく聞こえる。
樹林帯に入ると、枝に積もった雪が陽光を受けてきらきら光っている。
写真を撮ろうとして、手袋を外して後悔した。
指が痛い。でも撮らずにはいられない。
コースタイムは往復で4〜5時間ほど。
急登もあるが、それほど長くはない。
ただ、冬道は夏の倍は時間を見ておくべきだ。
トレースが消えることもある。
GPSアプリは必須だ。
稜線・山頂直下|風が来た瞬間、世界が変わった
樹林帯を抜けると、急に視界が開ける。
その瞬間は何度経験しても慣れない。
稜線に出たのは登り始めてから約2時間後。
左手に日本海が広がっている。
冬の海は鈍い銀色をしている。
きれいというより、圧倒される感じ。
風が来た。
体感温度が一気に下がる。
フェイスマスクをしていなかったら顔が持たない。
山頂は稜線からさらに30分ほど。
雪庇に注意しながら進む。
トレースがないので、端に近づきすぎないよう慎重に歩いた。
山頂に立ったのは10時40分ごろ。
奥尻島がうっすら見える。
晴れていれば羊蹄山まで見えるらしい。
その日は雲が多く、遠くまでは見えない。
それでも十分すぎるほどの景色だ。
誰もいない山頂で、カップラーメンを食べた。
500円のカップ麺が、やたらうまかった。
下山後・せたな町の温泉|冷え切った体に、湯が染みる
下山したのは13時すぎ。
足はがくがく、指先の感覚はほとんどない。
向かったのはせたな町内にある「鳥山温泉ひらたない荘」。
登山口から車で約30分。
料金は大人500円だ。
地元の人しかいない。
観光客っぽいのは自分だけ。
それがまたよかった。
湯は熱め。
じわじわと体の芯まで温まっていく感覚。
窓の外は雪景色。
誰とも話さず、ただぼーっとしている。
風呂上がりに飲んだ牛乳は150円。
冷たくて、甘くて、完璧だ。
せたな町は道南の中でもかなり静かな町だ。
コンビニも数が少ない。
食料・燃料は事前に揃えておくべきだと学んだ。
帰り道、日が沈む前の空が橙色に染まっている。
オコツナイ岳が遠くに見える。
また来よう。
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オコツナイ岳への行き方
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