道東の山奥に、ほとんど知られていない山がある。 オッカバケ岳。 標高1045m。名前すら読めない人が多い。 でも冬、この山に登った日のことは忘れられない。 誰もいない雪原を踏んで、頂上に立ったとき。 目の前に広がったのは、言葉にならない白だ。
オッカバケ岳のおすすめスポット
オッカバケ岳|誰もいない雪の頂上で、世界と二人きりになる
登山口に着いたのは朝7時。
気温はマイナス14度だ。
車のドアを開けた瞬間、空気が刺さった。
肺に入ってくる冷たさが、妙に気持ちよかった。
登山道は圧雪されておらず、ラッセルしながら進む。
ひざ下まで沈むことも何度もあった。
それでも足を止めたくない。
雪の重さが、なんだか心地いい。
2時間半ほどで頂上へ。
標識は雪に半分埋まっている。
周りを見渡した。
360度、山と雪と空だけ。
人工物が何もない。
音もない。
風も止んでいた。
こんなに静かな場所を、ほかに知らない。
思わず声を出したら、その声だけが空に吸い込まれた。
早朝のアプローチ|夜明け前の林道が、すでに絶景だ
登山口へ向かう林道が、また良かった。
夜明け前、5時半に宿を出た。
外はまだ真っ暗で、ヘッドライトだけが頼り。
林道に入ると、木々の間から月明かりが差している。
雪が青白く光っている。
途中、キタキツネが1匹、道を横切っていった。
こちらを見て、走り去った。
誰かに話しかけたかったけど、一人だ。
その静けさがなんとも言えない。
林道は約8km。
舗装されていない部分もあり、四駆推奨。
夏タイヤでは無理だ。
登山口に着いたら、一台も車がない。
やっぱり、来る人が少ない山なんだと再確認した。
それが、正直うれしかった。
自分だけの山みたいな気がして。
下山後の川湯温泉|冷えた体ごと、お湯に溶けていく
下山したのは14時ごろ。
全身に疲労が来ている。
向かったのは川湯温泉。
登山口から車で40分ほど。
日帰り入浴を受け付けている宿があって、500円で入れた。
お湯は強酸性の硫黄泉。
独特のにおいが充満している。
最初は慣れなかったけど、浸かるうちに気にならなくなった。
体の芯まで冷えていたから、お湯が染みた。
足の指先からじわじわと温まっていく感覚。
露天風呂から空を見上げた。
雪がちらちら降り始めている。
頂上で見た白と、このお湯と、雪。
全部つながっているような気がした。
北海道の冬山の醍醐味って、こういうことだ。
温泉がなければ、あそこまで頑張れなかっただ。
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オッカバケ岳への行き方
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