稜線に出た瞬間、息を飲んだ。 トムラウシ、十勝連峰、遠く大雪山系。 360度、山しかない。 標高2,013m。北海道の中心にある、この山の名前を知る人はまだ少ない。 だからこそ、静かだ。 リフトも看板も整備された道もない。 あるのは、登った者だけが見られる景色だけ。
オプタテシケ山のおすすめスポット
オプタテシケ山登山口|夜明け前、ヘッドライトをつけて歩き出す
美瑛富士避難小屋を起点にするルートを選んだ。
登山口に着いたのは午前4時半。
まだ真っ暗だ。
冬のオプタテシケは別格だ。
トレースはない。
地図とコンパスで読みながら進む。
ワカンをつけて、膝まで雪に沈みながら歩く。
標高差は約1,200m。
コースタイムは往復10〜12時間。
これは覚悟のいる山だ。
それでも足が止まらない理由がある。
雪に埋まった針葉樹の森が、静かすぎて怖いくらいきれいだ。
風の音だけが聞こえる。
人の声は一切しない。
北海道の奥深さを、体ご時間だ。
山頂稜線|2,013mで、北海道の全部が見える
稜線に出たのは午前9時過ぎ。
出発から約4時間半。
風が強かった。
マイナス15度を下回っている。
ゴーグルの内側が曇る。
それでも、目の前の景色に動けなくなった。
トムラウシ山が真正面にある。
十勝岳連峰が右手に広がる。
雪煙が舞って、山の輪郭がぼやける瞬間がある。
それがまた、信じられないくらい美しかった。
山頂標識は雪に埋まっている。
360度、人工物がひとつも見えない。
こんな景色、北海道でもそう簡単には出会えない。
10分いた。
体が冷える前に、下山を始めた。
名残惜しいとか、そういう感情より先に体が動いた。
それが冬山だ。
美瑛富士避難小屋|山の中に、ぽつんと泊まる夜
1泊2日で登るなら、美瑛富士避難小屋に泊まるのが現実的だ。
小屋は無人。
管理費もない。
定員は10〜15名ほど。
ただし、冬は入口が雪に埋まっていることがある。
到着してスコップで掘り出すところから始まった。
中は板張りの床だけ。
ストーブはない。
寝袋を2枚重ねにした。
夜、外に出た。
満天の星だ。
人工光がゼロの空は、こんなに星が多いのか。
翌朝4時に起きる。
行動食のゼリーを2本食べて、出発した。
コンビニもなければ、自動販売機もない。
持ち込んだもの全部が命綱だ。
その緊張感が、山を本物にする。
モデルコース
オプタテシケ山への行き方
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