標高は低い。 でも、侮れない山だ。 カンジウシ山は北海道・幌加内町に静かに立つ。 冬になると、一面が雪で覆われる。 音がない。 風だけがある。 そのくせ、山頂からの景色が頭を離れない。 来てよかった、と思う場所がある。 ここは、そういう山だ。
カンジウシ山のおすすめスポット
カンジウシ山登山口|誰もいない、朝7時の雪道
朝7時に着いた。
駐車場には車が1台もない。
気温はマイナス14度。
吐く息が白くて、すぐ消えた。
登山口は国道275号線から少し入ったところにある。
看板が小さくて、最初は通り過ぎた。
雪は前日に降ったばかりで、足跡がまったくない。
つまり、自分が最初だ。
それだけで、妙にテンションが上がった。
アイゼンをつけるのに10分かかった。
慣れていない人は、駐車場でゆっくり準備すればいい。
スペースは十分ある。
登り始めると、すぐ静寂に包まれた。
国道の音が消えるのが早かった。
風の音と、自分の足音だけになる。
その感覚が、なんとも気持ちよかった。
登山ルート|樹氷のトンネルを、ひとりで歩く
標高は約526メートル。
登山道は片道2キロ弱。
コースタイムは90分ほど。
でも、冬はそう簡単じゃない。
雪が深いと、踏み抜く。
膝まで埋まったこともあった。
中腹あたりから、木々が変わってくる。
白樺に雪がぶ厚くついて、トンネルみたいになっている。
その中を歩く感覚が、ちょっと異次元だ。
写真を撮りながら進んでいたら、1時間45分かかった。
でも、急ぐ必要なんてない。
ここで急ぐのは、もったいない。
誰にも会わない。
2時間以上、ずっとひとりだ。
それが、逆によかった。
静けさを独り占めしている感覚があった。
防寒はしすぎくらいでちょうどいい。
動いていると汗をかく。
でも、止まると一気に冷える。
調節できる重ね着が正解だ。
カンジウシ山頂|360度、誰も騒がない絶景
山頂に出た瞬間、視界が開けた。
それまでの樹林帯がうそみたいに、空が広がった。
朱鞠内湖が見える。
凍っている。
白くて、広くて、静止している。
遠くに増毛山地の稜線が連なっている。
雲がほとんどなかったので、くっきり見える。
こんなに見えるとは思っていない。
山頂には誰もいない。
360度、自分だけの景色だ。
10分間、ただ立って眺めている。
風は強かった。
マイナス18度はあった。
それでも、動けない。
幌加内は「日本最寒の地」と呼ばれることがある。
記録的な気温が出た場所でもある。
だから冬に来るのは正直怖かった。
でも、その寒さが景色を研ぎ澄ませている。
下山は50分で降りられた。
帰りはラーメンを食べた。
それも含めて、完璧な一日だ。
モデルコース
カンジウシ山への行き方
HUB CITY
札幌(拠点都市)から行ける旅先を見る →