標高1,000m超の稜線に、白い世界が広がっている。 サワンチサップ。 名前だけ聞いても、ピンとこない人が多いだ。 でもあの景色を一度見たら、忘れられなくなる。 冬の北海道の奥深さを、ここで初めて知った気がした。
サワンチサップのおすすめスポット
サワンチサップ山頂|雲の上に出た瞬間、言葉が消えた
登り始めて約2時間。
足元は締まった雪で、アイゼンなしでは滑る。
ゆっくり、慎重に、一歩ずつ進んだ。
稜線に出た瞬間、風が変わった。
視界が一気に開けて、雲海が足元に広がっている。
標高1,082m。
数字より、あの感覚のほうがずっとリアルだ。
晴れた日の山頂は気温がマイナス10℃を下回る。
体感温度はさらに低い。
防風ジャケットを着込んでいても、頬が痛かった。
でも、誰も早く下りようとしない。
みんなその場に立ったまま、ただ遠くを見ている。
山というのは、こういう場所だと思い出させてくれる。
来た甲斐がある、なんて言葉じゃ足りない。
樹氷の森|モノクロの木々が、別の星みたいだ
山頂手前の針葉樹林帯に入ると、景色が一変する。
木という木が、白い氷に包まれている。
樹氷。
写真で見たことはあったけど、実物は全然違う。
音がない。
風の音も、鳥の声も消えて、静寂だけが残る。
マイナス15℃の朝、霧が発生した日にしか見られない景色がある。
その日がたまたまそういう日だ。
タイミングの話だ。運の話でもある。
樹氷のトンネルを抜けながら、カメラを向け続けた。
手袋を外したら5分で指が動かなくなった。
それでも撮り続けた。
旅でしか出会えない瞬間というのが、確かにある。
あの森が、そのひとつだ。
麓の温泉小屋|下山後の一杯が、旅の締めくくりになった
足がガクガクのまま、麓の小さな温泉施設に飛び込んだ。
料金は500円。
シャンプーは持参が必要だ。
でも、そんなことはどうでもよかった。
湯温は42℃くらい。
体の芯まで冷えていたから、最初は熱さを感じない。
じわじわと温もりが戻ってきたとき、思わず声が出た。
脱衣所に貼ってあった手書きの注意書きが好きだ。
「のぼせても当館は責任取れません」と書いてあった。
そういうところが、観光地じゃないということだ。
ここに来る人は、みんな自分の意思でここに来ている。
ゆっくり浸かって、外に出たら星が出ている。
時刻は16時半。
北海道の冬は日が暮れるのが早い。
それもまた、ここでしか味わえないリズムだ。
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サワンチサップへの行き方
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