地図を見ても、名前すら読めない。 シタバヌプリ。 アイヌ語由来のその響きが、ずっと頭に残っている。 北海道の道東、釧路の奥地。 冬に行くのは無謀だと思いながら、それでも足が向いた。 雪に埋もれた山頂に立ったとき、来た理由がやっとわかった気がした。
シタバヌプリ山のおすすめスポット
シタバヌプリ山|誰もいない雪原で、風の音だけを聞いた
標高は約670m。
低山のくくりだけど、侮れない。
冬の登山道は雪で完全に埋まっている。
トレースがない日は、自分でルートを探す。
それが怖くもあり、おもしろくもあった。
出発したのは朝7時。
気温はマイナス12度。
息が白くなるどころか、鼻の中が凍る感覚があった。
森の中はシーンと静かだ。
足元の雪がキュッキュッと鳴く。
その音だけが聞こえる。
山頂に着いたのは2時間後。
360度、白い世界が広がっている。
雲海の下に釧路湿原が見えた気がした。
「気がした」というのは、目が追いつかなかったから。
あまりにも広くて、脳が処理できない。
誰もいない。
風の音だけが鳴っている。
こういう場所を探していたんだと、そのとき思った。
登山口の雪道|装備を整えてから、ここに来てほしい
登山口に着いた瞬間、ちょっと焦った。
道路から先、雪が1メートル近く積もっている。
夏靴だったら詰んでいた。
スノーシューを持ってきて、本当によかった。
なければ膝まで埋まる。
ワカンでもいいが、スノーシューの方が楽だ。
アイゼンは山頂直下の急斜面で使った。
凍っている部分があって、滑ったら止まらない斜度だ。
ウェアは上下で5レイヤー着ている。
動けば暑い。止まれば急に寒い。
休憩のたびにレイヤーを調整した。
行動食はチョコレートとナッツを持っていった。
低温でカロリーメイトは食べにくくなるので注意。
お湯を入れた山専ボトルが一番助かった。
500mlのお湯が、山頂でのコーヒータイムを可能にした。
日没は16時過ぎ。
遅くとも14時には下山を始めること。
暗くなってからの雪山は別の場所になる。
阿寒湖温泉|下山後の温泉が、この旅の締めだ
下山して車に戻った瞬間、全身がドサっと重くなった。
アドレナリンが切れた感覚。
体の芯から冷えている。
そのまま阿寒湖温泉に向かった。
日帰り入浴できる宿が複数ある。
今回使ったのは「鶴雅リゾート」の日帰り入浴。
料金は1,500円。
露天風呂から阿寒湖が見える。
雪の上に立っていた足が、ゆっくりと溶けていく感じがした。
大げさではなく、生き返った。
温泉から上がったあと、アイヌコタンに寄った。
夕方の商店街は静かだ。
木彫りのフクロウを一個買った。
1,200円だ。
釧路市街のビジネスホテルに泊まったのは21時過ぎ。
ベッドに倒れ込んで、すぐに寝た。
この疲れ方が、好きだ。
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シタバヌプリ山への行き方
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