標高1,748m。 北海道の奥地に、静かに立っている山がある。 セタウシ山。 名前を知る人はまだ少ない。 でも、冬にここへ来たとき、言葉を失った。 白と青だけの世界。 風の音だけが聞こえる。 人気の山ではないからこそ、誰もいないその頂上が、ぜんぶ自分のものになる。
セタウシ山のおすすめスポット
セタウシ山 冬の登山道|トレースなし、雪原を自分で切り拓く
冬のセタウシ山には、踏み固められた道がない。
スノーシューをつけて、自分でルートを作っていく。
最初の1時間は樹林帯。
エゾマツの枝に雪が積もって、静かに揺れている。
踏み出すたびに「ズボッ」と沈む感覚。
膝まで潜ることもある。
それが、ここの冬の歩き方だ。
樹林帯を抜けると、急に視界が開けた。
白い稜線が、空に向かって伸びている。
息が上がる。
気温はマイナス15度だ。
でも足を止めると、汗が冷えて一気に寒くなる。
立ち止まらず、ただ前を向いて歩き続けた。
頂上まで、登り約4時間。
そこに待っていたのは、360度の白い世界だ。
十勝平野が、地平線まで広がっている。
山頂からの展望|十勝平野が、足の下に広がっている
山頂に立った瞬間、風がぴたりと止んだ。
そんなことがあるのか。
眼下に広がる十勝平野。
農地の区画割りが、雪に覆われて白い碁盤になっている。
遠くに日高山脈の稜線が見える。
晴れた冬の日、その稜線はナイフのように鋭い。
南東には太平洋も見えた気がした。
気温マイナス15度でも、そこだけ時間が止まっているみたいだ。
10分もいられない。
体が冷えてくる。
でも、その10分のために4時間歩いた。
それだけの価値が、確かにあった。
写真を撮る手が震えている。
寒さのせいだけじゃない。
下山後の帯広|冷えた体に、豚丼が染みる
下山してから、帯広市内まで戻るのに1時間半かかった。
体の芯まで冷えている。
迷わず豚丼を食べに行った。
帯広は豚丼の本場だ。
炭火で焼いた豚肉が、甘辛いタレでご飯の上に乗っている。
並盛で880円のところもある。
一口食べた瞬間、全部が報われた気がした。
大げさじゃなく、本当にそう思った。
セタウシ山は、「日帰りで行ける」山ではある。
でも、冬に日帰りは正直きつい。
帯広に1泊して、翌朝ゆっくり帰るのがいい。
温泉も近くにある。
十勝川温泉まで車で30分。
消耗した足に、モール泉のお湯が沁みた。
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セタウシ山への行き方
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