新得町から車で1時間以上。 コンビニも信号もない道を走り続けると、 突然、湯気が見えてくる。 トムラウシ温泉は、たどり着くまでが長い。 でもその分、着いたときの安堵感がすごい。 大雪山の奥深く、本当に何もない場所に、 褐色の湯が湧いている。
トムラウシ温泉のおすすめスポット
東大雪荘|ここにしかない褐色の湯に、黙って浸かる
トムラウシ温泉の宿は実質ここだけ。
国民宿舎「東大雪荘」。
建物は古い。
ロビーも飾り気がない。
でも、大浴場に入った瞬間に全部どうでもよくなった。
湯の色が、ほんとうに茶色い。
ウーロン茶みたいな、独特の色。
含硫黄・ナトリウム・カルシウムの塩化物泉。
pHは6.7、源泉温度は約63度。
じわじわと体の芯まで温まる感覚がある。
脱衣所に時計がないから、気づいたら1時間経っている。
露天風呂から見える景色が、また静かだ。
木々しかない。
音もほとんどない。
冬は雪が積もって、湯煙との境目がなくなる。
そのコントラストが、写真では絶対に伝わらない。
日帰り入浴は700円。
10時から21時まで入れる。
登山客と地元の人と、観光客が同じ湯に浸かっている。
そういう雑多さも、悪くない。
トムラウシ川沿いの散策路|冬の静寂に、足音だけが響く
宿の裏手から、川沿いに歩ける道がある。
整備されているとは言いがたい。
案内板も最低限。
でも、それがいい。
冬に歩くと、踏みしめる雪の音だけが聞こえる。
サクッ、サクッ。
それ以外、何もない。
川の流れが速い場所は、真冬でも凍らない。
透明な水が、岩にぶつかりながら流れていく。
大雪山系から下りてきた水だと、
なんとなく手を合わせたくなった。
エゾシカに出会う確率が高い。
距離3メートルで遭遇したこともある。
向こうも逃げない。
ただこちらを見ている。
歩いても往復30〜40分程度。
短いようで、十分すぎる時間だ。
防寒と滑り止めの靴は必須。
スノーブーツでないと正直きつい。
トムラウシ自然休養林|大雪山の手前で、息をのむ
夏から秋にかけては、ここが主役になる。
冬はほぼ雪の中だけど、それでも雰囲気がある。
トムラウシ山への登山口がこのあたり。
標高1,189メートルから頂上の2,141メートルへ。
日帰りは無理。
本格的な山だ。
でも登山をしない人間でも、入口付近まで行くだけで空気が違う。
針葉樹の森がどこまでも続く。
空が狭い。
木の根が太い。
ここはもう、人間の場所じゃないだ。
冬の駐車場はほぼ無人。
車を降りた瞬間、マイナス15度の空気が顔に刺さった。
でも深呼吸したくなる。
なぜかわからないけど、したくなる。
観光地化されていない自然がある。
それだけで、来た意味があった。
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トムラウシ温泉への行き方
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