廃線になった鉄道を、自分でこぐ。 そのシンプルな体験が、なぜかずっと頭に残っている。 北海道の山の中、美深町。 観光地らしい派手さは何もない。 でも、あの静けさと風と、トロッコのガタガタいう音は、 ほかのどこでも味わえないものだ。
トロッコ王国美深のおすすめスポット
トロッコ王国美深|廃線の上を、自分の足で走る
受付を済ませて、いざ乗り込む。
見た目はシンプルな台車。
エンジンじゃなくて、ペダルを踏んで進む。
最初は「これ、ちゃんと動くの?」。
走り出すと、景色が変わった。
両側は深い緑。
ほとんど人工物がない。
風がまっすぐ顔に当たってくる。
コースは全長約12km。
往復すると約1時間かかる。
ゆっくり漕いでいると、なぜか無性に清々しくなってくる。
途中にトンネルがある。
中は真っ暗で、ひんやりしている。
夏でも空気がちがう。
そこだけ、時間が止まったみたいだ。
料金は大人1,500円。
これで1時間、自然の中に放り込まれる。
安い。
むしろ、もっと走っていたかった。
仁宇布の森|人の気配が、消えていく場所
トロッコを降りた後、周囲を少し歩いた。
仁宇布(にうぷ)というエリア。
地名の響きからして、すでに別世界感がある。
舗装されていない道。
鳥の声だけが聞こえる。
観光客もほぼいない。
美深町は人口が少ない。
このあたりはさらに奥地になる。
コンビニもガソリンスタンドも、ずっとない。
それが怖いというより、妙に落ち着いた。
都市の情報量を全部シャットアウトされたみたいで、
頭がすーっと静かになっていく感覚があった。
晴れた日に来ると、木漏れ日が地面にぽつぽつ落ちる。
その光を見ながら、ただ立っている。
何かを「する」旅ではなくて、
ただ「いる」旅。
そういう感覚を久しぶりに思い出した。
美深温泉|ひとりで浸かる、静かな湯
トロッコで足を使った後、美深温泉に立ち寄った。
町の中心部にある、地元密着の温泉施設。
日帰り入浴は大人500円。
派手な演出は何もない。
でも湯がやさしくて、しみじみと気持ちいい。
体の芯から、ほぐれていく感じ。
お湯はモール温泉系の茶褐色。
やわらかくて、肌にのるような質感だ。
北海道の温泉は何度も入っているが、
ここの湯はとくに「しずか」な感じがした。
露天風呂から空が見える。
夕方に入ると、空の色が変わっていくのをぼんやり眺める。
これが最高だ。
入浴後は食堂でラーメンを食べた。
観光地値段じゃない。
地元の人の食事の場所、という空気がある。
そういう場所が、いちばん落ち着く。
モデルコース
トロッコ王国美深への行き方
HUB CITY
札幌(拠点都市)から行ける旅先を見る →