北海道の山を歩いてきた。 その中でも、ヌ牛別岳は別格だ。 標高1,500m超。人の気配がほとんどない。 冬になると雪が全てを白く塗りつぶして、 そこに立つと、自分がどこにいるのかわからなくなる。 そういう場所が、好きだ。
ヌ牛別岳のおすすめスポット
ヌ牛別岳登山口|ここから先、人間の世界が終わる
登山口に着いたのは朝6時ごろだ。
気温はマイナス12度。
車から降りた瞬間、空気が肺に刺さった。
駐車スペースは5〜6台ほど。
平日だったせいか、他に誰もいない。
トレースがうっすら残っている。
前日に誰かが入ったらしい。
それだけが、心強かった。
装備はアイゼン12本爪、スノーシュー、ピッケル。
冬のこの山をなめると、本当に帰れなくなる。
歩き始めて15分。
もう街の音がなくなった。
聞こえるのは、自分の息と、雪を踏む音だけ。
それが、たまらなく好きだ。
稜線手前の急登|全身で雪山と交渉する時間
登り始めて2時間半。
標高差で600mほど上がったあたりで、傾斜が急になった。
アイゼンの前爪を蹴り込む。
ピッケルを刺す。
体重を乗せる。
それを繰り返す。
気温はさらに下がっている。
体は汗をかいているのに、顔だけが凍えている。
そのアンバランスさが、雪山らしい。
振り返ると、十勝の平野が白く広がっている。
地平線がくっきり見える。
思わず立ち止まった。
写真を撮ろうとして、グローブを外した。
30秒で手がしびれた。
それでも、シャッターを押した。
あの景色は、そうする価値があった。
急登は40分ほど続いた。
しんどかった。正直に言う。
でも、そのしんどさがあるから、山頂が嬉しい。
ヌ牛別岳山頂|1,500mの白い静寂
山頂に立ったのは、出発から4時間後だ。
標高1,503m。
風速はおそらく10m以上。
体感温度はマイナス20度を超えている。
景色は、言葉にしにくい。
大雪山系の白いシルエットが正面にある。
振り返れば、日高山脈。
足元には、南富良野の盆地。
誰もいない。
その静けさが、妙に落ち着いた。
山頂に5分もいられない。
寒くて、体が限界だ。
でも5分で十分だ。
あの景色は、5分で一生分の記憶になる。
下山は2時間かからない。
登りで苦しんだ急登を、一気に駆け下りた。
車に戻ったのは午後1時ごろ。
7時間の山行だ。
疲れた。最高だ。
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ヌ牛別岳への行き方
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