標高1917m。 北海道の日高山脈に、静かに立つ山がある。 ピパイロ岳という名前を初めて聞いたとき、 なぜか体が反応した。 アイヌ語で「広い川の流れるところ」を意味するという。 冬、その山頂に立ったとき、言葉を失った。 360度、白だけがあった。
ピパイロ岳のおすすめスポット
ピパイロ岳|稜線に出た瞬間、世界が白く静止する
登山口は戸蔦別林道の終点付近。
冬季は林道自体が閉鎖されるため、
そこから先はスキーかスノーシューで歩く。
アプローチだけで往復20km以上。
日帰りなら夜明け前、4時台の出発が現実的だ。
稜線に出るまでの急登がきつい。
樹林帯を抜けると、突然視界が開く。
その瞬間の衝撃は、何度経験しても慣れない。
右手に1839峰。
左手に北戸蔦別岳。
遠くに幌尻岳の白い塊。
風がある日は体感気温がマイナス20度を超える。
装備は妥協しないほうがいい。
ソフトシェルだけで来たら、山頂手前で引き返すことになる。
実際に見た。
山頂に立てたのは午前11時ごろ。
誰もいない。
雪原に自分の足跡だけが続いている。
林道アプローチ|静寂の中を、ひたすら歩く
冬の戸蔦別林道は、別の場所になる。
夏は車で走れる砂利道が、
膝丈の雪に埋まって消えている。
スノーシューで踏み出した最初の一歩。
先行者のトレースがあれば助かる。
なければ自分でラッセルしながら進む。
それはそれで、悪くない体験だ。
林道沿いの沢の音が、雪の下で聞こえる。
気温はマイナス15度だ。
それでも汗をかく。
体が動いているから。
往路は約3時間、林道歩きだけで終わる区間がある。
退屈に思えるだ。
でも、その時間が必要だ。
山に入る前に、頭が静かになっていく。
都市の雑音が全部、雪に吸い込まれていった。
そういう感覚があった。
平取町の拠点|下山後の温泉が、体に染みる
下山してたどり着くのが平取町。
人口約4400人の小さな町。
びらとり温泉「ゆから」は、
日帰り入浴が600円で使える。
営業は10時から21時。
下山後の16時ごろに滑り込んだ。
湯につかった瞬間、脚が笑い始めた。
今日一日分の疲労が、一気に出てきた感じがした。
露天風呂から見える山の稜線が、
さっきまで自分がいた場所だと、
不思議な感覚があった。
食事は町内の「荒木食堂」が使いやすい。
ダムカレーが名物で900円。
量が多い。
登山後のカロリー補給にちょうどいい。
宿泊するなら「びらとり温泉ゆから」に併設のホテルが便利。
1泊2食付きで約12000円〜。
翌朝5時には出発できる体制を整えてくれる宿だ。
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ピパイロ岳への行き方
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