登山道を2時間歩いた先に、突然お湯が湧いている。 屋根もない。 脱衣所もない。 川のそばの岩場に、白い湯気だけが立ち上っている。 大雪山の懐に抱かれた中岳温泉は、そういう場所だ。 たどり着いた瞬間、「本物ってこういうことか」。
中岳温泉のおすすめスポット
中岳温泉|登山靴のまま、野天の湯に足を浸ける
標高1,800m付近。
岩の隙間から、透明なお湯がぽこぽこと湧き出している。
温度は約42℃。
ぬるくも熱くもない、ちょうどいい加減だ。
足湯として浸かる人が多いが、本気で入る登山者もいる。
水着持参で来ていたグループを見たとき、「なるほどそういう使い方か」と少し悔しかった。
周囲は何もない。
自動販売機も、売店も、管理人もいない。
ただ山があって、空があって、お湯だけがそこにある。
秋は紅葉が燃えるような赤と黄色に染まり、
湯気と色彩のコントラストが息を呑むほど美しい。
冬は通常ルートが閉鎖されるため、
アクセスできるのは7月〜10月上旬が現実的だ。
ここは「観光地」ではない。
自分の足で来た人だけが入れる、地球の贈り物だ。
旭岳ロープウェイ|5分で別世界に放り込まれる
中岳温泉に向かうなら、旭岳ロープウェイが起点になる。
姿見駅(山頂側)に着いた瞬間、空気が変わった。
標高1,600m。
夏でも10℃を下回る日がある。
ロープウェイは片道1,800円(大人)。
往復3,200円。
正直、少し高い。
でも山頂の景色を見た瞬間、何も言えなくなった。
姿見の池の前で立ち止まったとき、
旭岳が池に映っている。
風がなければ、完全な鏡になる。
シャッターを押す手が止まらない。
中岳温泉まで往復すると約4〜5時間の行程になる。
体力に自信がない場合は、姿見周辺の散策だけでも十分に値する。
防寒着は必須。
夏の格好で来て、震えている観光客を何人も見た。
山の天気は、本当に急に変わる。
東川町の宿と食|登山の前後に体を整える町
旭岳の麓、東川町は「写真の町」として知られている。
でも実際に歩くと、静かで落ち着いた農村という印象だ。
登山前日に泊まるなら、旭岳温泉エリアの宿が便利だ。
「湯元 旭岳荘」などの宿泊施設がいくつかある。
1泊2食で1万円台から見つかる。
温泉は弱酸性の硫黄泉。
山で疲れた体に、じんわり染みる。
翌日の登山に備えて、早めに就寝するのが正解だ。
食事は東川町市街まで出ると選択肢が広がる。
お米がおいしい地域として有名で、
地元産のお米を使った定食を出す食堂がある。
山歩きの後に食べる白ご飯は、
思っていた3倍おいしかった。
町自体は小さいが、変に観光地化されていない。
その素直さが、山の空気と合っている。
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中岳温泉への行き方
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