フェリーを降りた瞬間、目の前にドンと利尻富士が現れた。 島全体が、あの山の足元に広がっている。 冬の利尻は、観光客がほとんどいない。 その静けさの中に、島の本音がある。 温泉に浸かりながら、雪をかぶった利尻富士を眺める。 そんな時間を求めて、また来てしまった。
利尻富士温泉のおすすめスポット
利尻富士温泉|雪の中で、あの山と二人きりになる
鴛泊港から歩いて15分ほど。
住宅街を抜けた先に、こじんまりした建物がある。
入浴料は600円。
シャンプーは持参か、フロントで買う。
内湯に浸かった瞬間、声が出そうになった。
窓の向こうに、利尻富士がある。
雪をまとった山が、湯気の向こうに静かに立っている。
源泉はナトリウム塩化物泉。
ぬるめで長く入れる温度設定がありがたい。
地元のおじさんたちが、なんでもない顔で新聞を読んでいた。
観光地化されていない、生活の温泉だ。
露天風呂もある。
冬は気温がマイナスになるから、肩まで沈んで出られなくなる。
空が暗くなってから入ると、星が見えることもある。
そういう偶然を、この温泉は用意してくれている。
鴛泊港周辺の街歩き|船が来ない冬の港は、別の顔をしている
夏は観光客でにぎわう鴛泊の港町も、冬はひっそりしている。
開いているお店を探す方が難しいくらい。
でも、それがいい。
フェリーターミナルから港を歩くと、利尻富士がずっとついてくる。
角を曲がっても、路地の先にも、あの山がいる。
島にいる間中、山に見られている感覚がある。
地元のスーパー「まるみつ」に入ってみた。
ウニやタコの加工品が、観光土産と混ざって並んでいる。
昆布が束になって売られていて、値段が安い。
島で暮らす人の食卓を、少しだけのぞかせてもらった気分だ。
防波堤に座って、しばらく海を眺めた。
対岸に礼文島が見える。
フェリーは1日数便しかない。
ここは、来ようと思わないと来られない場所だ。
その事実が、島の静けさを守っている。
姫沼|冬だけ見せてくれる、凍った鏡の世界
鴛泊港から車で10分ほど。
標高約80メートルの場所に、小さな沼がある。
夏は利尻富士の逆さ富士が映ることで有名らしい。
でも冬に来ると、沼が凍っている。
雪が積もった氷の上に、利尻富士の影が落ちている。
だれもいない。
足跡も、自分のものだけ。
音がない。
風もない。
その静止した景色を、しばらく立ったまま見ている。
写真を撮ることを忘れた。
冬の姫沼は、アクセス路が雪で荒れていることがある。
レンタカーかタクシーが現実的だ。
徒歩は正直きつい。
でも来た価値は、確実にある。
沼の一周は1.2キロほど。
夏なら20分の散策路が、冬は雪に埋もれて判然としない。
それでも、歩いてみた。
誰かが踏んだ跡を、ひとつひとつたどりながら。
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利尻富士温泉への行き方
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