標高1954m。 北海道の屋根・大雪山系の奥地に、化雲岳はある。 トムラウシ山への縦走路の途中、ひっそりと岩が盛り上がる。 ここに立つためだけに、片道5時間以上歩いた。 それだけの距離を越えた先に、息が止まるような景色が待っている。 北海道の山を舐めていたことを、ここで思い知らされる。
化雲岳のおすすめスポット
化雲岳山頂|5時間歩いた先で、地の果てに立つ
天人峡温泉の登山口を朝5時に出発した。
最初の1時間は樹林帯。
視界がない分、ひたすら足元を見て歩く。
標高を上げると、ハイマツ帯に変わる。
風が強くなって、空が近くなる。
山頂直下の岩場を登り切った瞬間、視界が一気に開いた。
トムラウシ山が正面にある。
旭岳方面の稜線がどこまでも続いている。
人工物が何もない。
山頂の岩に腰を下ろして、しばらく動けない。
感動というより、圧倒される感覚に近かった。
冬は雪に覆われ、別の山になる。
スノーシューで入る上級者もいるが、ラッセルと天候判断が命取りになる。
冬の化雲岳は、経験と装備がある者だけの世界だ。
登山口から山頂まで、コースタイムで約5時間30分。
ほぼ全行程が自然のまま。
整備された観光地ではない。それがいい。
化雲平|北海道に、こんな場所があったのか
山頂の手前に、化雲平という湿原が広がっている。
ここで足が止まった。
高層湿原が、稜線の上にある。
池塘がいくつも点在して、空を映している。
7月下旬にはエゾコザクラが一面に咲く。
「お花畑」という言葉はよく使われる。
でも化雲平のそれは、スケールが違った。
見渡す限り、花と水と空だけ。
冬はすべて雪の下に沈む。
どこが湿原で、どこが雪原なのか、素人には判断できない。
ルートを外れると膝まで踏み抜く。
夏でも天候が急変する場所だ。
出発時は晴れていても、午後には霧が出る。
化雲平で昼食を取っていたとき、20分で視界が50mになった。
ガスの中の湿原も、それはそれで非現実的な美しさだ。
計画通りにいかないことが、ここでは普通にある。
天人峡温泉|下山後の湯が、全部を報いる
11時間歩いて戻ってくる場所が、天人峡温泉だ。
渓谷沿いに温泉宿が数軒ある。
脱衣所に荷物を放り込んで、湯に入った瞬間、声が出た。
アルカリ性の単純硫黄泉。
とろみがあって、肌に残る感じがする。
標高を上げてきた脚が、じわじわとほぐれていく。
天人峡温泉は登山者のための温泉だ。
観光客向けに整えられた施設ではない。
峡谷の奥にあって、アクセスも悪い。
それがちょうどいい。
旭川市内から車で約70分。
日帰り入浴は1000円前後の宿もある。
近くに羽衣の滝がある。
落差270mで日本最大級とされる。
でも登山後の体には、温泉の方が現実的だ。
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化雲岳への行き方
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