地図を見ても、ピンと来ない。 北海道の内陸、二戸郡の山あいに「陣屋」という言葉が残っている。 幕末、南部藩がここに設けた出張所の跡。 ひっそりと、でも確かに、歴史の重みが地面の下に染みついている。 誰も教えてくれなかった場所が、いちばん刺さることがある。
南部陣屋のおすすめスポット
南部陣屋跡|草の匂いと、消えかけた歴史が混ざり合う場所
駐車場から歩いて3分もかからない。
なのに、着いた瞬間に空気が変わった。
木々に囲まれた敷地に、土塁の跡がのこっている。
高さは1メートルほど。
でも、それが江戸時代からそのままだと、足がすくんだ。
案内板は1枚だけ。
観光地化されていない、という言い方もできるけど、それが逆に正直でよかった。
整備された遊歩道を進むと、かつて建物があったとされる平地に出る。
夏に来たのは正解だ。
草が青くて、蝉の声がうるさくて、でもその賑やかさの中に静けさがあった。
観光客は、滞在中に3組しか会わない。
それぞれが、それぞれのペースで歩いている。
南部藩がここに陣屋を置いたのは1855年ごろ。
蝦夷地の警備強化を目的にした出先機関だったという。
その事実を知ってから歩くと、景色の見え方が変わった。
周辺の自然|陣屋を包む、北海道らしい森の話
陣屋跡を出たあと、そのまま周辺を歩いた。
舗装されていない道が続いている。
まず驚いたのが、木の密度だ。
本州の雑木林とは違う。
もっと太くて、間隔が広くて、1本1本が主役みたいに立っている。
朝9時ごろに着いたのが、結果的によかった。
光が斜めに差し込む時間帯で、葉っぱの隙間から差す朝日が異常にきれいだ。
思わず15分くらい同じ場所で立ち止まっている。
6月の北海道は、本州より2〜3℃低い。
長袖を持っていって正解だ。
朝は特に冷える。
鳥の声がよく聞こえる。
名前はわからないけど、聞いたことのない鳴き声が多かった。
あとで調べたらアオジという鳥らしい。
観光というより、散歩だ。
でも、その散歩がいちばん記憶に残る。
知内温泉|陣屋の帰り、体ごと沈める古湯
陣屋から車で約20分。
知内温泉がある。
北海道最古の温泉のひとつと言われている。
鎌倉時代に発見されたという記録が残っているらしい。
内装は古い。
脱衣所のロッカーが昭和のままだ。
でも、そこがよかった。
リニューアルされた温泉より、時間が染みついている場所の方が好きだから。
泉質はナトリウム塩化物泉。
ぬるっとした感触で、肌に膜が張るような感覚があった。
お湯の温度は42℃くらい。
熱めが好きな人にはちょうどいい。
露天風呂から見える山が、また良かった。
木々がそのまま迫ってきているような景色で、温泉に入りながら森の中にいる感じがした。
入浴料は600円だ。
観光客向けの値段設定じゃない。
地元の人が普通に使っている温泉、という空気があった。
それが居心地よかった。
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南部陣屋への行き方
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