標高1600メートル。 道路が終わる場所に、その湯はある。 大雪山の懐に抱かれた大雪高原温泉は、夏でも肌寒く、秋になれば日本一早い紅葉が山肌を染める。 温泉街も、コンビニも、なにもない。 あるのは原生林と、硫黄の匂いと、静寂だけ。 そこが、たまらなく好きだ。
大雪高原温泉のおすすめスポット
大雪高原温泉|硫黄の匂いと、野生の時間
駐車場に車を止めた瞬間、硫黄の匂いが鼻をついた。
ここはそういう場所だ。
宿は「大雪高原山荘」1軒のみ。
選択肢がないのに、迷いがない。
日帰り入浴は700円。
内湯もいいが、露天風呂が別格だ。
湯の色は乳白色というより、少し青みがかった白。
源泉かけ流しで、湯温は44度前後。
熱めだが、外気が冷たいから体がすぐに慣れる。
露天から見上げると、大雪の山肌がそのまま目の前にある。
人工物がひとつも視界に入らない。
カラスが鳴いた。
風が吹いた。
それだけで十分だ。
ヒグマ出没のため、遊歩道が閉鎖になる日もある。
自然に管理されている感覚がある。
ここでは人間のほうが、遠慮がちに存在している。
高原沼めぐり|9つの沼を、ひとりで歩く
温泉から徒歩すぐ、高原沼めぐりのルートがある。
全長約6キロ。
所要時間は3〜4時間。
ルート上に9つの沼が点在していて、それぞれ色が違う。
エメラルドグリーン、茶褐色、黒に近い深緑。
同じ山の中なのに、なぜこんなに違うのかと首をかしげた。
9月初旬に訪れたとき、ナナカマドがすでに赤くなり始めている。
北海道の紅葉前線はここから始まる。
日本で最も早い紅葉とよく言われるが、実際に見ると、その言葉の意味がわかる。
ルートはヒグマ生息域のど真ん中だ。
入山時にヒグマ情報カードを記入する。
レンジャーが常駐していて、出没情報によってはルートが閉鎖になる。
当日の朝まで入れるかどうかわからない緊張感がある。
それも含めて、この場所の本気だ。
層雲峡温泉|山を下りた夜の、もう一湯
大雪高原温泉から車で約40分下ると、層雲峡に着く。
標高も下がり、空気がやわらかくなる感じがある。
層雲峡の「黒岳の湯」は、日帰りで入れる公共浴場だ。
料金は600円。
柱状節理の崖を眺めながら浸かれる露天風呂がある。
高原の野趣あふれる湯とは対照的に、ここは落ち着いた温泉街の雰囲気だ。
どちらも悪くない。
むしろ両方はしごして、この一帯の温泉の幅を味わうのがいい。
夜になると、層雲峡の断崖がライトアップされる時期もある。
宿から歩いて見に行った。
切り立った岩壁が暗闇に浮かぶ様子は、昼間とまったく違う顔だ。
大雪の自然は、時間帯によって何度も表情を変える。
それを確認するためだけに、もう一度ここに来たいと思っている。
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大雪高原温泉への行き方
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