北海道の北部、朱鞠内湖の近くにひっそりと立つ山がある。 天塩岳、標高1558m。 有名じゃない。混まない。でも、冬に来るとわかる。 ここにしかない景色が、確かにある。 樹氷に包まれた稜線を歩いたとき、声が出ない。 そういう山だ。
天塩岳のおすすめスポット
天塩岳|静寂の樹氷地帯へ、誰もいない稜線を歩く
登山口に着いたのは朝7時前だ。
駐車場には1台も車がない。
そういう山なんだと、そのとき実感した。
冬の天塩岳は樹氷が凄まじい。
エゾマツやトドマツが白く凍りついて、別の星みたいに見える。
足元は締まった雪。
アイゼンを効かせながら高度を上げていく。
山頂手前の稜線に出た瞬間、風が変わった。
遮るものが何もない。
オホーツク方面まで見渡せる白い世界が広がっている。
気温はマイナス18℃。
それでも動き続けていれば寒くない。
止まると一瞬で体温が奪われる。
山頂に立ったのは10時40分。
登り始めから約4時間。
誰とも会わない。
それが逆に、この山の価値だ。
天塩岳ヒュッテ|山中に残る、小さな避難小屋の温もり
登山口そばに、古い木造の小屋がある。
天塩岳ヒュッテ。
無人の避難小屋だ。
扉を開けると、木の匂いがした。
毛布が何枚か積まれていて、ノートが一冊置いてあった。
登山者たちが書き残したメモや感想。
2年前の記録、5年前の記録。
みんなこの山に引き寄せられてきた人たちだ。
冬季はここで一泊するプランを組む人もいる。
薪ストーブがあって、使い方の説明が貼ってあった。
山の中でストーブを囲む夜は、たぶん特別だ。
無料で使える。
ただし水は出ない。
トイレは外。
快適ではないけれど、それでいい山がある。
ここはそういう場所だ。
朱鞠内湖|天塩岳の帰り道に寄る、凍った湖の静けさ
下山後、帰り道に朱鞠内湖へ寄った。
日本最大級の人造湖で、冬は全面結氷する。
湖面に降り立ったとき、音が消えた。
足元は完全に固まった氷。
厚さは1月下旬で50〜70cmになることもある。
ワカサギ釣りの小屋がぽつぽつ並んでいた。
空が広い。
四方を山に囲まれていて、どこを見ても白い。
天塩岳で消耗した体に、この景色はちょうどよかった。
日没が早い。
2月なら16時半には暗くなり始める。
朱鞠内湖には16時までに着いていたい。
帰路は名寄方面へ。
途中の「道の駅 もち米の里☆なよろ」で温かいものを食べた。
天塩の山と湖を一日で味わう、そういうルートが成立する。
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天塩岳への行き方
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