フェリーに乗って、2時間半。 本州の地図から切り離されたような場所に、奥尻島はある。 1993年の大津波の傷跡と、それでも続く人々の暮らし。 透き通った海と、何もない道。 ここに来る理由は、うまく説明できない。 でも来てよかったと、船を降りた瞬間に思った。
奥尻島のおすすめスポット
なべつる岩|波に削られた時間が、そこに立っている
島の南端に向かって車を走らせると、突然現れる。
高さ約12メートル。
海の中に直立する奇岩が、空にぽっかり穴を空けている。
「なべつる」という名前の通り、鍋の取っ手みたいな形をしている。
写真で見ていたのに、実物は全然スケール感が違った。
駐車場から歩いて3分もかからない。
それなのに、着いた瞬間しばらく動けない。
波の音だけが聞こえる。
観光客はほとんどいない。
夕方4時ごろ、光が横から差し込む時間帯がいちばんよかった。
岩の影が海に伸びて、オレンジ色に染まっていく。
これだけで来た甲斐がある。
入場料も柵もない。
ただそこにある。
津波館|1993年7月12日のことを、島は忘れていない
正直、行くか迷った。
観光で来て、被災の記録を見ていいのかという気持ちがあった。
それでも入ってよかった。
1993年7月12日午後10時17分。
マグニチュード7.8の地震が起き、大津波が奥尻島を襲った。
死者・行方不明者は230名。
島の人口の約5パーセントが、一夜で失われた。
館内には当時の映像が流れている。
集落の跡の写真。
変形したコンクリート。
残された時計が、10時17分で止まっている。
言葉が出ない。
復興に5年かかった。
その話も展示されている。
島の人が島を諦めなかった記録だ。
入館料は大人300円。
1時間では足りない。
島内の海岸線ドライブ|誰もいない道を、ただ走った
奥尻島を一周するのに、車で2時間かからない。
信号は島全体に数えるほどしかない。
レンタカーを借りて、ひたすら海沿いを走った。
料金は1日5,500円(軽自動車)だ。
途中、誰もいない砂浜に車を止めた。
靴を脱いで、砂の上を歩いた。
海の色が異様に青かった。
透明度が高くて、底の石がはっきり見える。
コンビニはない。
自販機も少ない。
人とすれ違わない区間が何キロも続く。
それが怖くなくて、むしろ心地よかった。
島の北部、球浦(たまうら)あたりの海が特によかった。
ガイドブックに載っていない場所だ。
地図を見ながら適当に止まって、それが一番の風景だ。
奥尻はそういう島だ。
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奥尻島への行き方
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