札幌から車で約1時間。 それだけで、こんなに世界が変わるのか。 豊平川沿いに湯けむりが立ち上り、冬は雪と温泉が混ざり合う。 街全体が「温まりに来た人」しかいない場所。 ここは観光地というより、ただ、ゆっくりしに来るところだ。
定山渓温泉のおすすめスポット
定山渓温泉街|湯けむりと雪と、なにもしない時間
温泉街の中心部を歩くと、あちこちから白い湯気が上がっている。
足湯が無料で開放されていて、靴を脱いでそのまま浸かった。
外気温はマイナス5度だ。
なのに足だけ、じんわり熱い。
その温度差がおかしくて、一人で笑った。
川沿いの遊歩道は除雪されていて、夜でも歩ける。
街灯の光が雪に反射して、昼間より明るいくらいだ。
コンビニはない。
チェーンの居酒屋もない。
そのかわり、小さな土産屋と温泉宿が肩を並べている。
「何もない」と感じる人もいる。
でも、何もしないために来る場所なんだと、2時間歩いてようやくわかった。
夜9時、宿に戻る前にもう一度足湯に浸かった。
誰もいない。
二見公園の吊り橋|真冬の渓谷に、ひとりで立つ
定山渓といえば「二見岩」と聞いている。
実際に歩いて行ったら、思ったより近い。
温泉街から徒歩10分もかからない。
吊り橋を渡ると、真下に豊平川が流れている。
雪解けの手前、2月の川は黒くて静かだ。
橋の揺れが思ったよりあって、一歩踏み出すたびにゆらゆら揺れた。
ちょっと怖い。
でもその怖さが、ちゃんと「自然の中にいる」と体に教えてくれる。
二見岩は川の中から2つ並んでそびえている。
高さ約15メートル。
写真で見るより、ずっと存在感があった。
説明看板には「縁結びの岩」と書いてあった。
ひとりで来ていたけど、別にいい。
冬は観光客が少なく、ほぼ貸し切りで渓谷を眺められる。
これは冬に来た人だけの特権だ。
定山渓神社|雪の参道で、しんと静かになる
温泉街の一角に、小さな神社がある。
派手な案内もなく、普通に歩いていると通り過ぎてしまいそうだ。
参道の両脇に雪が積もっている。
誰かが踏んだ足跡だけが続いている。
その跡をたどって、鳥居をくぐった。
境内に入ると、温泉街の音が急に遠くなる。
静寂というより、「しん」という感覚。
雪が音を吸っているせいだ。
ここは明治時代、定山渓を開拓した美泉定山が祀られている神社だ。
定山渓という地名の由来が、この人の名前だと知ったのは帰り際だ。
温泉が湧く前から、人がここに来ていたということになる。
参拝を終えて出てきたら、ちょうど雪が舞い始めた。
演出みたいで少し笑えたけど、本当に綺麗だ。
観光スポットとしては地味だけど、来てよかったと思えた場所だ。
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定山渓温泉への行き方
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