標高1,058m。 名前を聞いて、読み方すらわからない。 「しゅくふつやま」と知ったのは、現地に着いてからだ。 積丹半島の奥、積雪期にしか見えない景色がある。 わざわざ冬に来る人だけが知っている場所。 そういう山が、北海道にはまだある。
宿弗山のおすすめスポット
宿弗山|雪の斜面に、誰の足跡もない
登山口に着いたのは朝7時半。
気温はマイナス12度だ。
駐車スペースに車は1台もない。
完全に、貸し切りだ。
スノーシューを履いて歩き始める。
新雪が深くて、ひざ下まで沈む。
静かすぎて、自分の呼吸だけが聞こえる。
樹林帯を抜けると、視界が一気に開けた。
積丹ブルーの海と、白い稜線が重なる。
その瞬間、思わず立ち止まった。
写真で見たことがある構図だったが、実物はスケールが全然違う。
山頂まで約3時間。
きつい急登が1か所ある。
アイゼンは必須だ。
チェーンスパイクだと途中で心が折れる。
頂上では風が強くて、5分も立っていられない。
でも、その5分で十分だ。
神威岬まで見渡せる景色は、冬にしかない。
余別温泉|下山後の体が、溶けていく
下山してすぐに向かった先は、余別温泉だ。
登山口から車で約20分。
山で冷え切った体を、早く沈めたかった。
施設は小さい。
ロビーも、脱衣所も、こぢんまりしている。
でも湯船に入った瞬間、全部どうでもよくなった。
ナトリウム塩化物泉、無色透明。
温度は41度ほどでちょうどいい。
足の指先まで、じわじわと温まってくる感覚がある。
平日の午後2時、先客は地元のおじさんが1人だけ。
「今日、山に行ったの?」と聞かれた。
地元の人には、わかるらしい。
入浴料は500円。
タオルは持参が無難だ。
シャンプーや石けんは置いてあった。
窓の外は雪。
湯気の向こうに、白い木々が見える。
この時間だけで、来た価値がある。
神威岬|冬の岬に、観光客はいない
宿弗山の帰り道に寄った。
夏は駐車場が満車になる有名スポットだ。
でも2月の平日、ゲートは閉まっている。
冬季は遊歩道への立ち入りが規制されている。
それでも、駐車場から見える景色だけで十分だ。
灰色の空と、荒れた日本海。
夏とは全然違う顔をしている。
岬の先端に向かって、岩が連なっている。
人がいないから、スケール感が正直に伝わってくる。
観光地の賑やかさが剥がれると、こういう場所の本質が出る。
風速は体感で15m以上あった。
まともに立っていられない。
5分で退散した。
でも、あの荒涼とした景色は、夏には絶対に見られない。
冬に積丹に来た人だけが見られる神威岬がある。
それだけで、真冬に来た意味があった。
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宿弗山への行き方
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