稜線に出た瞬間、息が止まった。 目の前に広がるのは、白い世界だけ。 大雪山系の奥深く、標高2158mの頂。 小泉岳はそういう山だ。 トムラウシ山への縦走路にひっそり存在するこの山は、知る人ぞ知る。 でも一度立てば、忘れられなくなる。
小泉岳のおすすめスポット
小泉岳|白銀の稜線に、世界が凍りついている
赤岳登山口を午前5時30分に出発した。
気温はマイナス15度。
吐く息が、すぐに白く固まる。
銀泉台からの登りは急じゃない。
でも雪が深い。
トレースがなければ、ひざ上まで埋まる。
スノーシューを持ってきて、正解だ。
赤岳山頂に着くまで約2時間半。
そこからさらに稜線を北へ20分歩くと、小泉岳の頂がある。
標識がぽつんと立っているだけ。
でも360度、遮るものが何もない。
東側に白雲岳。
西にトムラウシ。
南に旭岳。
全部、雪をまとって静かに立っている。
風が強い日は、体ごと持っていかれそうになる。
実際、この日も瞬間風速20m近かった。
それでも動けない。
あの景色の前では、寒さが後回しになる。
層雲峡温泉|凍えた体に、45度の湯が染みる
下山して最初にしたことは、靴を脱ぐことだ。
6時間以上、足先の感覚がない。
層雲峡温泉まで車で約30分。
日帰り入浴が使える宿は複数あるが、この日入ったのは「朝陽亭」。
料金は800円。
露天風呂から見える断崖が、また異常だ。
層雲峡の柱状節理は高さ100m超。
黒い岩肌に、雪が積もっている。
その景色を見ながら湯に浸かる。
贅沢の意味を、そこで考え直した。
体の芯から温まるのに20分かかった。
指先に痛みが戻ってくる感覚。
それが、今日山に行った証拠だ。
温泉街は小さい。
コンビニは1軒だけ。
でもそのくらいがちょうどいい。
山と温泉だけで、1日が完結する場所だ。
大函・小函|氷の渓谷を、ひとりで歩いた
翌朝、温泉街から歩いて行ける場所がある。
大函と小函。
層雲峡の渓谷美が凝縮されたスポットだ。
気温マイナス18度の朝。
石狩川が半分凍りかけている。
水が流れている部分と、氷が張っている部分が混在して、奇妙に美しい。
大函は遊歩道が整備されていて歩きやすい。
でも小函への道は冬期閉鎖。
看板の前で少し残念に思った。
代わりに、大函の展望台に20分ほど立っている。
観光客はゼロ。
音が、ない。
川のせせらぎと、風の音だけ。
夏は観光バスが何台も来るらしい。
冬の人の少なさは、得だ。
あの静けさは買えない。
朝7時台に来ると、朝日が岩肌を赤く染める時間がある。
5分だけ続く光景だ。
カメラを出すのが間に合わない。
まあ、それでよかったとも思う。
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小泉岳への行き方
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