北海道の内陸に、ひっそりと湯が湧いている。 岩尾温泉は、派手な看板も、行列もない。 あるのは、静かな雪景色と、体の芯まで温まる湯だけ。 「こんな場所を知っている」という感覚が、旅を特別にする。 そういう温泉が、道北にまだ残っている。
岩尾温泉のおすすめスポット
岩尾温泉あったか館|雪の中に、湯けむりだけが立っている
外気温はマイナス10度を下回っている。
駐車場で車を降りた瞬間、顔が痛くなる。
それでも、建物に入ると別世界だ。
地元の人が「ここしか来ない」と言っている。
その意味が、湯に浸かって3分でわかった。
ナトリウム塩化物泉。
ツルッとした肌触りで、湯上がりがしつこく温かい。
体の冷えが、じわじわと溶けていく感じ。
内風呂だけでなく、露天もある。
露天に出ると、雪がしんしんと降っている。
湯気と雪が混ざって、視界が白くなる。
料金は大人400円。
この値段で、この湯。
地元の人が通い続ける理由がわかった。
16時ごろが狙い目で、夕方の光が窓から差し込む。
誰もいない露天で、雪を眺めながら浸かる時間。
それだけで、来た甲斐があった。
苫前町の冬景色|誰も歩いていない雪道が、一番きれいだ
温泉の後、車を走らせた。
目的地はない。
ただ、雪の中の町を見たかった。
苫前町は、日本海に面した小さな漁師町だ。
冬は風が強く、雪が横から吹きつける。
傘が役に立たない種類の雪だ。
それでも、歩いてみた。
港の方へ向かうと、漁船が雪をかぶって並んでいた。
誰もいない岸壁に、波の音だけが響いている。
こういう景色は、夏には見られない。
冬だから、人がいないから、こうなる。
町の中心部には、数軒の食堂がある。
そのうちの一軒に飛び込んだ。
タコが名物らしく、タコ刺し定食を頼んだ。
800円。
身が厚くて、甘みが強い。
店のおばちゃんが「今日は風が強いねえ」と言った。
それだけの会話だったけれど、妙に嬉しかった。
風力発電の丘|冬だけ見える、あの異様な光景
苫前町は、風力発電で知られる町だ。
丘の上に、白い風車が何十基も並んでいる。
夏に来ても、もちろん見える。
でも、冬の景色は別格だ。
雪原の中に、白い風車が回っている。
空も白、地面も白、風車も白。
そこに、ぼんやりとした太陽だけがある。
言葉が出ない。
丘への道は凍結している。
四駆でないと厳しい。
夏タイヤでは絶対に行けない場所だ。
駐車できるスペースがあって、そこから歩いて登った。
5分ほどで、見晴らしのいい場所に出た。
風が強くて、体が持っていかれそうになる。
マイナス15度の体感温度。
それでも、その場を動きたくない。
写真を撮ろうとしたら、スマホのバッテリーが落ちた。
北海道の冬は、そういうことが普通に起きる。
目に焼き付けるしかない。
それで良かったと思っている。
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岩尾温泉への行き方
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