標高1,558m。 帯広市街から車で1時間ちょっとの場所に、こんな山がある。 冬の帯広岳は、静寂がそのまま雪になったような場所だ。 トレースのない斜面を踏み出した瞬間、街の音が全部消える。 ここに来る人は少ない。だから、雪がきれいなまま残っている。
帯広岳のおすすめスポット
帯広岳登山口|朝6時、誰もいない雪の入口に立つ
冬の登山口に着いたのは朝6時半だ。
気温はマイナス14度。
車のドアを開けた瞬間、空気が刺さってくる。
駐車スペースには先客ゼロ。
トレースも、足跡も、何もない。
新雪がそのまま山の奥へ続いている。
スノーシューを装着して歩き始めると、
ザクッ、ザクッという音だけが響く。
その音以外、本当に何も聞こえない。
登山口には案内板がある。
ただし冬季は整備されていない区間が多い。
コンパスとGPSは必須だと実感した。
標高を上げるにつれて樹氷が現れ始める。
枝が白く膨らんで、別の星みたいな景色になっていく。
ここで引き返す人もいるが、もったいない。
もう少し登ると視界が開ける。
帯広岳山頂稜線|風が強くて、それでも離れられない
山頂付近に出たのは登り始めて約3時間後。
標高1,558m。
体感気温はマイナス20度を超えている。
稜線に出た瞬間、風がごうっと来た。
バラクラバを持ってきて本当によかった。
顔が出ていたら10秒で痛くなるレベルだ。
でも、そこから見える日高山脈が圧倒的だ。
山の連なりが、白く、静かに、地平線まで続いている。
誰もいない。音もない。
風の音だけが全部を支配している。
十勝平野も見える。
帯広の街が、小さな点みたいに広がっている。
あそこから来たのかと、妙な感慨があった。
山頂での滞在は15分が限界だ。
寒さではなく、風で立っていられなくなる。
それでも、もう一度振り返って景色を目に焼き付けた。
下山後の帯広市街|豚丼と温泉で、体が戻ってくる
下山してから帯広市街まで戻ると夕方近くになっている。
ヘトヘトなのに、なぜか足取りが軽い。
帯広といえば豚丼。
「ぱんちょう」は行列ができることで有名な老舗だ。
並んで入る価値がある。
炭火で焼いた豚肉が、甘いタレで輝いている。
ひと口食べた瞬間、山でかじかんでいた手を忘れた。
食後は温泉へ。
「天然温泉 北海道ホテル」の庭園露天風呂が好きだ。
料金は大人1,800円。
外の冷気と温泉の湯気が混ざって、
山で使い切った体がじわじわ戻ってくる感じがする。
帯広の夜は静かだ。
街の規模の割に、夜がちゃんと暗い。
山から見下ろしていたあの街に、今自分がいる。
そう思いながら飲む地ビールが、妙においしかった。
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帯広岳への行き方
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