函館港の沖に、ぽつんと浮かぶ小さな島がある。 フェリーで10分も走ると、幕末の時間に迷い込む。 弁天台場。 ほとんど観光客に知られていない場所なのに、 ここに来ると、なぜかずっと居たくなる。 潮風と石垣と、誰もいない静けさが待っている。
弁天台場のおすすめスポット
弁天台場|幕末の石垣が、海の上でそのまま眠っている
函館港から市営汽船に乗る。
料金は片道240円。
10分ほどで、立待岬とも違う、小さな人工島に着く。
上陸した瞬間、空気が変わった気がした。
石畳の道はぼこぼこしていて、
修復されていない石垣がそのまま積まれている。
1864年に築かれた台場跡。
箱館戦争の舞台にもなった場所だ。
榎本武揚が最後に立て籠もった、あの戦争の。
説明板はあるけど、人はいない。
自販機も売店もない。
あるのは風と海と、崩れかけた石の壁だけ。
それがいい。
整備された史跡とは全然違う。
手を触れると、石がざらっとした。
本物の時間が、ここに残っている。
潮風の散歩道|小さな島を、30分かけて一周する
島の広さは歩いて一周30分もあれば十分。
でも、急いで回るのはもったいない。
石垣の上からは函館山が見える。
海の向こうに、あの有名な夜景の山が、
昼間はただの山として静かに立っている。
足元には打ち寄せる波。
5月に訪れたとき、風がまだ冷たくて、
ジャケットを着てちょうどよかった。
島の北側に回ると、本州側の海が開ける。
漁船がゆっくり通り過ぎていった。
エンジン音だけが遠くに聞こえて、あとは静かだ。
観光地として売り出されていない分、
ここを知っている人だけが来る感じがする。
会ったのは、カメラを持った年配の男性が一人だけ。
それくらい、人がいない。
だから、良かった。
函館港の朝|渡る前に、港の空気を吸っておく
弁天台場行きの汽船が出る、函館港の桟橋。
朝8時台、港はまだ静かだ。
漁師の軽トラが一台止まっていて、
カモメが欄干に並んでいた。
観光地の函館とは全然違う風景。
乗船前に10分ほど歩いた。
港町の古い建物が並ぶ通りは、
グーグルマップに名前すら出てこないような路地が続く。
明治時代の石造りの倉庫が一棟、まだ現役で残っている。
看板も出ていないので、観光客はほぼ通らない。
でも、ここが函館の本当の姿に近い気がした。
弁天台場への旅は、この港の朝から始まる。
元町の観光エリアより、30分早起きする価値がある。
それだけで、旅の深さが変わる。
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弁天台場への行き方
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