支笏湖の南に、ひっそりとそびえる山がある。 標高1320m。 派手さはない。 でも、冬の恵庭岳を一度見てしまったら、忘れられなくなった。 樹氷に覆われた白い尾根と、湖面に映る空の青。 ここに来るためだけに、北海道に飛んだ冬があった。
恵庭岳のおすすめスポット
恵庭岳登山口|冬の入口は、静かすぎて怖いくらいだ
支笏湖温泉の駐車場に車を停めたのは朝7時。
気温はマイナス12℃。
吐く息が、すぐに白くなって消えた。
登山口への林道は、前日の雪でトレースが消えている。
スノーシューを履いて、自分でルートを探しながら進む。
音がない。
風もない。
ただ雪を踏む音だけが続く。
冬季は第2火口より上は登山禁止になっている。
それでも、第2火口展望台までの往復で十分すぎるくらいだ。
樹林帯を抜けた瞬間、支笏湖が視界いっぱいに広がった。
思わず立ち止まって、しばらく動けない。
湖の色が、異常なほど青かった。
こんな景色が、札幌から1時間の場所にある。
そのことが、なんだか信じられない。
第2火口展望台|湖と空が、ひとつに溶けていく場所
登山口から展望台まで、約2時間かかった。
コースタイムは夏なら1時間半ほど。
雪道だと読めない。
展望台に出た瞬間、風が急に強くなった。
体感温度はマイナス20℃を超えている。
それでも、景色から目が離せない。
支笏湖は日本最北の不凍湖だ。
真冬でも凍らない、透明な水面。
その向こうに樽前山と風不死岳が並んでいる。
自分が今、どれほど特別な場所に立っているか、じわじわと染みてきた。
快晴の日を選ぶのが絶対条件。
曇っていたら、この景色は半分も見えない。
天気予報と1週間にらめっこして、やっとつかんだ晴れだ。
その甲斐は、完全にあった。
支笏湖温泉|下山後の温泉が、こんなにありがたいと思ったことはない
下山したのは14時すぎ。
つま先の感覚がない。
支笏湖温泉エリアには、日帰り入浴を受け付けている宿が数軒ある。
「丸駒温泉旅館」は支笏湖に直結した露天風呂で有名だ。
料金は大人1000円。
湯船から湖が見える。
湖面に夕日が落ちている。
山を歩いた体で、あの景色の中に浸かる。
それだけで、この旅が完成した気がした。
冬の支笏湖は、観光客が少ない。
夏のにぎわいが嘘みたいに、静かだ。
だからこそ、景色が独り占めになる。
混雑が苦手な人には、冬が一番いい。
寒さも、そのうち山の一部になっていく。
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恵庭岳への行き方
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