札幌から車で約2時間。 看板もほとんどない山道を進んでいくと、突然あらわれる。 愛山渓温泉。 一軒宿、一本道、深い森。 ここには余計なものが何もない。 そのぶん、本物だけが残っている。 冬に来ると、雪に埋もれた宿の灯りが妙にあたたかく見える。
看板もほとんどない山道の先、深い森に一軒宿の灯りがぽつんと浮かぶ。冬は雪がすべてを覆い、宿の明かりが妙にあたたかく見える。余計なものが何もない、本物だけが残る秘湯の時間は愛山渓ならではだ。石狩川支流が刻む愛山渓渓谷では、遊歩道から迫力ある地層と水音を間近に感じられ、秋は紅葉、冬は氷瀑が岩肌を彩る。旭正園ではダケカンバやミズナラの群落に野鳥の声が響く。拠点は札幌駅で、バス利用も可能だがレンタカーが便利。冬季は道路の凍結・閉鎖があるため、前日に宿へ確認を。
愛山渓温泉のおすすめスポット
愛山渓倶楽部|雪の中に、ぽつんと灯る一軒宿
宿に着いたのは夕方4時過ぎ。
外は-10℃近かった。
玄関を開けた瞬間、硫黄の匂いがふわっと来た。
ああ、温泉に来た、と体が先に気づく。
愛山渓温泉は、この「愛山渓倶楽部」だけで成り立っている場所だ。
コンビニも自販機もない。
電波は弱い。
それがむしろよかった。
源泉かけ流しの湯は少し白濁していて、肌にやわらかく絡みつく。
内湯の窓から雪景色を眺めながら、気づいたら1時間以上浸かっている。
宿泊料金は1泊2食付きで1万2000円前後。
温泉地としては破格に思えるほど、ちゃんとしている。
夕食のジンギスカンが思いのほか本格的で、箸が止まらない。
廊下には登山者の靴がずらりと並んでいた。
ここは夏、大雪山系のトレッキング拠点にもなる。
冬は静かすぎるくらい静かで、それがちょうどよかった。
愛山渓の露天風呂|-10℃の空気の中で、湯けむりに包まれる
露天風呂に出た瞬間、息が白くなった。
頭が冷たい。
足元が熱い。
その落差が、ここの醍醐味だ。
露天風呂は内湯から直結している。
雪をかき分けて外に出ると、目の前に雪に覆われた山が広がる。
人工物が何も見えない。
空と雪と湯けむりだけ。
お湯の温度は43℃前後。
長湯するには熱めだが、冬の露天ではちょうどいい。
10分も浸かると、芯から温まって動けなくなってくる。
夜に入るのが特にいい。
宿の明かりが雪に反射して、あたりがぼんやり青白く光っている。
静かすぎて、自分の心拍が聞こえるような気がした。
朝は朝で、また違う。
日の出直後、誰もいない露天に一人で入った。
遠くで木が雪の重みで折れる音がした。
それだけで、来た甲斐があると思えた。
愛山渓温泉周辺の雪道散策|静寂と、踏み締める音だけがある
温泉だけが目的のつもりで来た。
でも翌朝、宿の周りを少し歩いてみたら、それだけで十分な旅になった。
宿の周囲には雪に覆われた林が続いている。
トレッキングコースは冬季閉鎖されるが、宿の近くの平坦な道なら歩ける。
長靴かスノーブーツが必須だ。
スニーカーで来たら、1分で後悔する。
雪の重みで枝がしなった木々が、道の両側に並んでいる。
誰も踏んでいない雪の上に、足跡をつけていく感覚が気持ちいい。
大雪山国立公園の中に位置しているから、視界に入るものがすべて山と森だ。
電線すらない。
これが北海道の奥地、というやつだ。
散策は30分もあれば十分。
でも深く雪が積もった静けさの中にいると、時間の感覚がなくなってくる。
朝食の時間ギリギリまで外にいた。
それくらい、ここの朝は特別だ。
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愛山渓温泉への行き方
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