地面がぼこぼこと盛り上がり、灰色の泥が静かに湧き出ている。 火山なのに炎はない。 熱くもない。 それなのに、確かに地球が生きている。 新冠の山の中に、そんな異様な場所がある。 観光地化されていない。 案内板も少ない。 だから逆に、本物だ。
新冠泥火山のおすすめスポット
新冠泥火山|灰色の泥が、静かに地球の息を吹いている
国道から林道に入って、約20分。
舗装が途切れ、砂利道になるあたりから空気が変わる。
車を降りると、まず匂いがした。
硫黄ではない。
土と水が混ざったような、生々しい匂い。
泥火山は想像より小さかった。
直径でいうと2〜3メートル程度の穴が、いくつか点在している。
そこからドロドロとした灰色の泥がゆっくり湧き出て、縁を超えて広がっていく。
ぽこっ、ぽこっ、という音が聞こえる。
踏み込もうとして、足が止まった。
地面が柔らかい。
長靴でないと沈む。
この日は11月上旬。
気温は3度だ。
泥はそれでも湧き続けている。
冬になると泥の動きが鈍くなるらしい。
でも完全には止まらない。
地球の中は、寒くないのだ。
そう気づいた瞬間、なんとも言えない気持ちになった。
新冠町中心部|馬と牧草地と、静かな昼どき
泥火山から戻ると、お腹が空いた。
時間は13時過ぎ。
新冠町の中心部まで戻ると、飲食店は数えるほどしかない。
地元の人に教えてもらったのが、国道沿いのある定食屋。
日替わりランチが850円だ。
この日はサバの味噌煮と、地元産の野菜の煮物。
窓から牧草地が見える。
馬が2頭、のんびり草を食んでいた。
新冠町は日高馬産地の中心地のひとつ。
車で走るだけで、牧場が次々と現れる。
柵の向こうにサラブレッドが立っている景色が、普通にそこにある。
冬の牧草地は茶色くて、空が広い。
観光スポットという感じではまったくない。
でも、この何もなさが北海道らしかった。
時間が止まったみたいな昼さがりだ。
静内温泉(新ひだか町)|泥だらけの体を、ここで洗う
新冠から車で約30分。
新ひだか町の静内温泉に寄った。
泥火山で長靴が泥まみれになった。
足元が冷えている。
温泉に入りたかった。
静内温泉は日帰り入浴が700円。
内湯と露天があって、露天からは冬枯れの山が見える。
平日の夕方は空いている。
地元のおじいさんが2人いるだけだ。
お湯はうっすら茶色がかっている。
ナトリウム塩化物泉。
体の芯から温まる、重みのあるお湯だ。
「泥火山、行ってきたんですか」
おじいさんに話しかけられた。
「あそこはね、昔からあそこにあるんですよ」と言っている。
地元の人には当たり前の場所なのだ。
旅人には非日常で、地元では日常。
その差が、旅の面白さだ。
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新冠泥火山への行き方
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