小樽の市街地から車で15分ほど走ると、急に山の匂いがする。 朝里川温泉は、観光客でにぎわう小樽港とは別の顔を持つ場所だ。 雪に埋もれた川沿いに、いくつかの宿が静かに建っている。 派手さは何もない。 でも、一度来ると、また来たくなる。
朝里川温泉のおすすめスポット
朝里川温泉街|雪の静けさの中に、湯けむりが立ちのぼる
12月の朝里川は、音がない。
雪が全部吸い込んでいるのか、川の音だけが低く聞こえる。
温泉街といっても、旅館が数軒並ぶだけの小さな集落だ。
土産屋も、飲食店の行列も、ない。
その「なさ」が、正直ありがたかった。
宿のチェックインは15時。
それまでの時間、川沿いをぶらぶら歩いた。
気温はマイナス3度。
吐く息が白くて、頬が痛い。
でも足元の雪がきゅっきゅっと鳴って、それが妙に気持ちよかった。
宿の露天風呂から見た景色が忘れられない。
雪をかぶった木々の向こうに、灰色の空。
お湯は無色透明で、肌がつるっとなる重曹泉だ。
pH8.5前後のアルカリ性。
体の芯から温まって、出た後も冷えにくい。
夜、誰もいない露天に一人で浸かった。
静かすぎて、少し怖いくらいだ。
小樽天狗山|ロープウェイで上がると、そこは別世界だ
朝里川温泉から車で10分ほどで天狗山に着く。
標高532メートル。
北海道の山としては低い部類だが、冬の景色は本物だ。
ロープウェイは片道700円。
所要時間は約4分。
乗り込んだ瞬間から景色が変わり始める。
小樽の市街地が、海が、どんどん遠くなる。
山頂に着くと、風がまず来る。
体感温度はマイナス10度近い。
でも目の前に広がる小樽湾と石狩湾のパノラマで、そんなことはどうでもよくなる。
晴れた日は積丹半島まで見えるらしい。
訪れた日は薄曇りだったが、それでも十分すぎた。
雪の斜面がオレンジ色に染まる夕方が、特に美しかった。
スキー場も隣接していて、子どもたちが声を上げて滑っている。
温泉宿に戻る前に立ち寄るのにちょうどいい場所だ。
体を冷やしてから温泉に入ると、温かさが倍になる気がする。
朝里ダム・湖畔の散歩道|誰もいない雪道を、ただ歩く
温泉街から歩いて20分ほど。
朝里ダムがある。
観光地ではない。
ガイドブックにも小さくしか載っていない。
でも冬の朝里ダム湖は、見に行く価値がある。
湖面が完全に凍っている。
白くて平らな面が、山々に囲まれてそこにあった。
音がない。
人もいない。
風だけが、時々木の枝を揺らす。
散策路は除雪されていないので、長靴かスノーブーツが必要だ。
くるぶしまで雪に埋まりながら歩いた。
誰かと話したい気持ちにも、写真を撮りたい気持ちにもならない。
ただ、歩いた。
ダムの堤体に上がると、貯水湖が一望できる。
夕方4時ごろ、光が斜めに差し込む時間帯が特にいい。
雪面がうっすら金色に輝く。
この景色を見た人が、どれだけいるだろう。
温泉に帰って体を温め直して、ようやく人心地がついた。
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朝里川温泉への行き方
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