標高1041m。 北海道・苫小牧の奥に、その山はある。 冬になると雪と噴気が混ざり合い、地球がまだ生きていることを思い知らされる。 ロープウェイも山小屋もない。 あるのは風と、溶岩ドームと、どこまでも広がる白い稜線だけ。 それでも、来たくなる山がある。
樽前山のおすすめスポット
樽前山|雪の上に、噴気の柱が立っている
登山口の駐車場に着いたのは朝7時。
気温はマイナス12度だ。
車から降りた瞬間、顔が痛い。
そういう山だ、ここは。
冬の樽前山は、夏とはまるで別の顔をしている。
樹林帯を抜けると、視界が一気に開ける。
真っ白な雪原の中央に、溶岩ドームがそびえている。
その隙間から白い噴気が上がっている。
活火山だ、と改めて実感する瞬間。
噴気の音は聞こえない。
ただ、静かに煙が空へ消えていく。
稜線に出ると風が変わる。
遮るものが何もない。
支笏湖が眼下に見える。
冬の湖面は鉛色で、ものすごく美しかった。
山頂部の外輪山を一周するルートは約2km。
夏なら1時間もかからない距離が、雪と風でまったく別の難易度になる。
アイゼンは必須。
ピッケルがあると安心だ。
支笏湖展望|湖が、山の一部になっている
樽前山の稜線から見下ろす支笏湖。
これが、この山に来た理由のひとつだ。
標高を上げるにつれ、湖の全体像が見えてくる。
カルデラ湖特有の丸い形。
冬の光を受けた湖面が、灰色と青の間で揺れている。
湖の向こうには恵庭岳。
さらに遠くに羊蹄山のシルエット。
北海道の山が、重なるように並んでいた。
この景色は、天気に左右される。
快晴じゃないと見えない。
この日は運がよかった。
ガスが晴れた瞬間、思わず立ち止まった。
風がとにかく強かった。
体感温度でマイナス20度近かった。
それでも、その場を離れたくない。
山頂の景色というのは、
しんどい思いをした分だけ、深く刺さる。
樽前山はそういう山だ。
下山後の支笏湖温泉|冷えた体に、お湯が染みた
下山したのは13時過ぎ。
登りから数えて約5時間。
足の感覚がない。
樽前山を登ったあとは、支笏湖温泉に寄るのが自然な流れになる。
登山口から車で20分かからない。
入ったのは「丸駒温泉旅館」。
日帰り入浴が1000円。
露天風呂が支笏湖に面していて、湖面と同じ高さにある。
この露天が、圧倒的だ。
冬の冷気の中、お湯に浸かりながら湖を見る。
さっきまであの稜線にいた、。
体が溶けていく感覚があった。
温泉に入るというより、湖の一部になるような感じ。
大げさに聞こえるだけど、そういう場所だ。
帰りの車の中、ずっと眠かった。
いい意味で、体が限界だったんだ。
樽前山は、それだけ本気で向き合う山だ。
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樽前山への行き方
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