道南の山の中で、ひときわ存在感を放つ山がある。 標高1520m。日本二百名山のひとつ、狩場山。 冬、ここに来ると気づく。 静けさって、こんなに重さがあるものかと。 積雪期の斜面は手つかずで、踏み込むたびに音が消えていく。 それが、ここへ来たくなる理由だ。
狩場山のおすすめスポット
狩場山 登山口|雪の壁を抜けた先に、別の世界がある
冬の登山口に着いたのは朝7時前。
気温はマイナス8度だ。
車を降りた瞬間、空気が顔に刺さる。
痛い、というより、鋭い。
登山口周辺はすでに1m近い積雪で、トレースはほぼない。
スノーシューを履いて踏み出した最初の一歩が、膝まで沈んだ。
ここから先は、自分でルートを選ぶ。
それが少し怖くて、少し嬉しかった。
樹林帯を抜けると視界が開ける。
後志の山並みが、白いシルエットで並んでいる。
誰もいない。
風の音だけがある。
夏道とは別ルートを取る登山者も多い。
事前に地形図とGPSの確認は必須だ。
冬の狩場山は、準備した分だけ応えてくれる山だ。
狩場山 山頂|360度、遮るものが何もない
山頂に立ったのは、出発から約5時間後。
標高1520m。
冬の稜線は風が強く、体感温度はマイナス20度近かった。
それでも、足が止まった。
日本海が見える。
奥尻島の輪郭がうっすらと浮かんでいる。
北には積丹半島。
南には駒ヶ岳。
全部、白と青だけの世界だ。
カメラを出すと、指がかじかんで動かない。
それでも何枚も撮った。
山頂の標識は雪に埋まっていて、てっぺんだけが顔を出している。
そこに手を置いて、しばらく何も考えない。
風が強い日はホワイトアウトになる。
天気予報は前日夜と当日朝、必ず二度確認する。
晴れた日の山頂は、来た甲斐があったと思える場所だ。
賀老の滝|登山前に寄っておくべき、もうひとつの狩場
登山の前日、賀老の滝に立ち寄った。
落差70m、北海道最大級の滝だ。
冬はほぼ凍結する。
その姿を見たくて、わざわざ前乗りした。
駐車場から滝壺まで、除雪された道を20分ほど歩く。
木々の間から、白い塊が見えてきた。
滝が、凍っている。
全部ではない。
中心部はまだ水が流れていて、その周りが巨大な氷の柱になっている。
青白くて、半透明で、生き物みたいだ。
誰かが「氷瀑」と言っていたが、その言葉では足りない気がした。
観光客はほとんどいない。
地元の人が一人、写真を撮っている。
冬にここを目指す人間は少ない。
だから、静かに、ちゃんと見られる。
それだけで来る価値がある。
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狩場山への行き方
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