雪の重さで木が鳴る。 その音しか聞こえない場所が、北海道にある。 猫山。標高1,147m。 派手な観光地でも、整備された登山道でもない。 でも、あの静けさと白さは、ちょっと忘れられない。 冬にしか見せない顔を、持っている山だ。
猫山のおすすめスポット
猫山|雪に埋まった山頂で、音が消えた
登り始めは午前8時すぎ。
気温はマイナス12度だ。
樹林帯を抜けるまでの1時間半が、地味にきつい。
足首まで雪に沈む。
スノーシューがないと話にならない。
レンタルは麓で2,000円前後で借りられる。
尾根に出た瞬間、景色が変わった。
木がなくなって、空だけになる。
風も、この日は奇跡的に穏やかだ。
山頂に立ったのは出発から約2時間半後。
眼下に広がるのは、真っ白な大雪山系の稜線。
誰も言葉を発しない。
「きれい」じゃ追いつかない景色が、ある。
そういう場所だ。
下山後は足ががくがくして、車のシートに倒れ込んだ。
それも含めて、猫山の記憶になっている。
樹氷の森|白いモンスターの群れの中を歩く
山頂だけが猫山じゃない。
登りの途中、樹林帯に入ったあたりで足が止まった。
木という木が、雪と氷に覆われている。
いわゆる「樹氷」だ。
ニセアカシアや針葉樹が、白いオブジェみたいに変わっている。
「スノーモンスター」と呼ばれる蔵王のものが有名だけど、
ここのは人が少ない分、静かに見られる。
観光客向けのロープウェイも、案内板もない。
自分の足で来た人だけが、この景色に会える。
それがまた、妙に気持ちよかった。
朝イチで登ると、光が低い角度から差し込んで
樹氷がオレンジに染まる瞬間がある。
午前7時台から動けるならそれを狙ってほしい。
写真を撮る手が、マイナス温度でかじかんだ。
それでも止まれない。
上川町の温泉|凍えた体に、じわじわ染みる湯
下山して、体の芯まで冷えた状態で温泉に入る。
この流れが、猫山旅の正解だ。
上川町には「層雲峡温泉」がある。
日帰り入浴が可能な施設も複数あって、
500〜800円程度で入れる。
無色透明のナトリウム塩化物泉。
とにかく体が温まる。
足の疲れが、お湯の中でゆっくりほどけていく感じ。
この日入ったのは「朝陽亭」の日帰り湯。
露天風呂から、雪に覆われた山の稜線が見える。
登ってきた方向を眺めながら、ぼんやりできる。
山の後の温泉に、意味のない時間はない。
そう気づいた午後3時すぎ。
帰りの車でうとうとしたのは、言うまでもない。
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猫山への行き方
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