知床半島の奥、ほとんどの人が知らない山がある。 知円別岳。標高1,253m。 登山道はない。 ルートは自分で判断する。 それでも冬になると、この山を目指す人間がいる。 理由は一つ。 雪をまとったあの稜線を、自分の目で見たいから。
知円別岳のおすすめスポット
知円別岳|ルートも正解もない、雪の稜線へ
知床五湖の先、舗装路が終わるあたりから空気が変わった。
気温はマイナス12度。
スノーシューを履いて歩き始めたのは朝7時。
樹林帯を抜けるまで約2時間。
その間、誰とも会わない。
足跡すら残っていない。
稜線に出た瞬間、風が全部吹き飛んだ。
オホーツク海が、地平線まで広がっている。
こんな景色があるのかと、ただ立ち尽くした。
雪は締まっていて歩きやすかった。
でも油断すると膝まで沈む箇所もある。
アイゼンとピッケル、必須。
GPSも必須。
ガイドなしで入るには経験値がいる山だ。
それでも、来てよかった。
稜線から見る知床の冬は、他のどこでも見られないものだ。
知床峠|マイナス15度の朝、雲海が足元に来た
知円別岳へのアプローチで必ず通る知床峠。
標高738m。
冬季は通行止めになる。
だからこそ、雪上車かスノーモービルで入るしかない。
その朝は雲海が出ている。
ウトロ側が完全に雲の下に沈んでいた。
羅臼岳だけが頭を出している。
そんな景色、ガイドのSさんも「年に数回しか見ない」と言っている。
気温マイナス15度。
防寒着は上下ダウン、インナーはウール必須。
スマホのバッテリーは一気に減る。
モバイルバッテリーをインナーポケットに入れておいて正解だ。
峠に立つ時間は限られている。
でも5分でも10分でも、ここに立てたなら。
その価値は確実にある。
羅臼の漁師宿|山の後は、流氷明けのタコを食う
下山後、羅臼の漁師宿に泊まった。
1泊2食で9,800円。
その安さで出てきたものに、少し驚いた。
羅臼昆布のだし。
タコの煮付け。
ホッケの干物。
ご飯が止まらない。
宿のおやじさんに聞いた。
「今年は流氷の来るのが遅い」と。
2月上旬に来ると流氷が見える年もあるが、タイミング次第だと。
翌朝5時半、漁に出る音で目が覚めた。
まだ真っ暗。
でも外を見ると、海が少し光っている。
羅臼は山の拠点だけじゃない。
海があって、人がいて、暮らしがある。
それを感じられるのも、この旅の収穫だ。
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知円別岳への行き方
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