硫黄の匂いが、風に乗って鼻をつく。 ここは知床の奥地。 世界自然遺産の端に、煙を吐き続ける山がある。 標高1,563m。 冬になると、白と黄色のコントラストが息をのむほど鮮やかになる。 そんな場所に、行きたくなった。
知床硫黄山のおすすめスポット
知床硫黄山|煙と雪の境界線で、地球の息を感じた
登山口に立った朝、気温はマイナス12度だ。
吐く息が白い。
足元は圧雪で、アイゼンなしでは一歩も進めない。
それでも登る理由がある。
標高を上げるにつれて、硫黄臭が濃くなっていく。
岩肌の黄色が雪の白に滲み出るように広がっている。
山頂付近に近づくと、地面から湯気が立ち上っている。
温度計を持っていた同行者が「地面、50度超えてる」と言った。
冬の山の中で、地球だけが熱を持っている。
噴気孔のすぐそばは雪が溶けて、黒い土が露出している。
そこだけ別の季節みたいだ。
山頂から見下ろすオホーツク海は、灰色に静まり返っている。
登山所要時間は往復で約6〜8時間。
冬季は単独行動厳禁。
知床自然センター|山に入る前に、ここに寄る理由がある
登山前日、知床自然センターに立ち寄った。
入館無料。
建物に入ると、スタッフがすぐ話しかけてくれた。
「明日の天気、稜線は風速15m越えそうです。
ルート変えた方がいいだ」
パンフレットには書いていない情報がここにある。
最新の入山情報、ヒグマの目撃情報、雪崩リスクのある斜面。
これを聞いてから入山するかどうか決める、という地元のスタイルだ。
シアタールームでは知床の生態系を紹介する映像が流れている。
15分ほどの映像に、ヒグマの捕食シーンが普通に映っている。
ここは観光地ではなく、野生の場所なのだと改めて思った。
センターのすぐ裏から、フレペの滝への遊歩道も出ている。
冬は遊歩道が閉鎖されることもあるので要確認。
ウトロ温泉|硫黄の山から下りてくると、体がそこを求めている
下山して宿に戻ったのは16時過ぎ。
日はすでに傾いている。
アイゼンを外した瞬間、膝の力が抜けた。
ウトロ温泉の湯は、塩化物泉が多い。
体の芯からじわじわ温まる感覚がある。
登山後の筋肉に、這うように熱が入ってくる。
宿泊した旅館の露天風呂は、オホーツク海が見える。
冬の午後5時、空は急速にオレンジに変わっていく。
湯の中に肩まで浸かりながら、その色が消えていくのを見ている。
夕食に出てきたのはウニ、ホッケの開き、鮭のちゃんちゃん焼き。
値段は1泊2食で1人15,000円前後が相場。
冬は宿の数が減るので、予約は早めに動いた方がいい。
硫黄山を登った日の夜は、異様によく眠れた。
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知床硫黄山への行き方
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