北海道の奥地に、こんな山があったのか。 石狩岳は標高1,967m。 大雪山系の東端に静かに鎮座している。 アクセスが悪い分、人が少ない。 その静けさが、逆に引力になる。 冬は完全な雪山になる。 そこに踏み込んだとき、北海道の本気を見た気がした。
石狩岳のおすすめスポット
石狩岳登山口|夜明け前、誰もいない林道に立つ
シュナイダーコース登山口を出発したのは午前4時半。
ヘッドライトの光だけが頼りだ。
気温はマイナス12度。
息が白く、すぐに消えた。
林道を抜けるまで約40分。
樹林帯の中は風がなく、むしろ静かで落ち着いた。
ただ雪を踏む音だけが続く。
樹林帯を抜けたとたん、視界が一気に開いた。
そこから先は別世界だ。
足元は膝丈のラッセル。
前日の降雪が重く積もっている。
冬の石狩岳に夏道はない。
ルートは読図と感覚に頼るしかない。
地形図とコンパス、それとGPSを全部持った。
それでも何度か止まって確認した。
稜線まで約4時間。
きつかったが、振り返るたびに景色が変わった。
どこを見ても雪と空だけ。
それだけで十分だ。
石狩岳山頂|何もない、だからすべてが見える
山頂に着いたのは午前9時すぎ。
スタートから約4時間半かかった。
標識は雪に半分埋まっている。
それでも、ここが頂上だとわかった。
360度、遮るものがない。
東には然別湖。
西には大雪山の稜線が続く。
トムラウシ、十勝岳、旭岳。
知っている名前が次々と並んでいた。
風は強かった。
体感温度はマイナス20度を超えている。
写真を撮るために手袋を外したら、指先が10秒で痛くなった。
それでも、その場を離れたくない。
こんな景色、ほかでは見たことがない。
北海道の広さを、初めて体で理解した気がした。
山頂滞在は15分が限界だ。
体が冷える前に下山を始めた。
帰りはシリセードで一気に滑り降りた。
下りは1時間半で登山口に戻った。
ぬかびら源泉郷|凍えた体を、湯が溶かしていく
下山後、ぬかびら源泉郷に直行した。
距離にして約20km。
車中は震えが止まらない。
温泉街は小さい。
ホテルが数軒、日帰り湯が2〜3か所。
それだけの規模だが、湯は本物だ。
入ったのは「中村屋」の日帰り入浴。
料金は700円。
内湯だけだが、泉質がいい。
ナトリウム・カルシウム塩化物泉。
ぬるっとした感触で、肌にまとわりつく。
湯に浸かった瞬間、全身の力が抜けた。
指先から感覚が戻ってきた。
山頂で固まっていた筋肉がほどけていく。
風呂上がりに食堂で鹿丼を頼んだ。
1,200円。
肉がやわらかく、出汁が染みている。
ここに来るために山を登っただ。
外は夕方になっている。
気温はまだマイナス8度。
でも、もう寒くない。
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石狩岳への行き方
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