石狩川が日本海に注ぐ、その河口近く。 小高い砂丘の上に、赤い鳥居がぽつんと立っている。 周囲はほぼ何もない。 風が強い。砂が舞う。 それなのに、なぜかここに引き寄せられる。 漁師たちが海の安全を祈り続けた場所には、観光地にはない静けさがある。
石狩弁天社のおすすめスポット
石狩弁天社|砂丘の上の赤い鳥居に、風がうなる
石狩市街から車で10分もかからない。
なのに、着いた瞬間に空気が変わる。
鳥居をくぐると、砂が靴の中に入ってくる。
参道というより、砂丘の斜面を登る感じだ。
社は小さい。
こぢんまりした社殿に、色あせた奉納額が並んでいる。
どれも漁師や船乗りの名前が刻まれている。
ここはニシン漁で栄えた時代から、海の神様として信仰を集めてきた場所。
弁天様が祀られているから「弁天社」だけど、雰囲気は険しい。
かわいらしさより、祈りの重さがある。
境内から石狩湾を見渡すと、水平線がまっすぐ伸びている。
こんなに広い海を、木の船で渡っていたのか。
そう思ったら、奉納額の意味が少し変わって見える。
観光客はほとんどいない。
平日の昼間、30分ほど滞在したが、誰とも会わない。
石狩浜|日本海の荒波と、砂と、誰もいない海岸線
弁天社のすぐ脇から、海岸に下りられる。
砂浜というより、岩と砂が混じった荒い浜だ。
波が思ったより大きい。
夏でも風が冷たくて、上着を1枚持ってきて正解だ。
ここは「はまなすの丘公園」が近く、6月から7月にかけてハマナスが咲き乱れる。
ピンク色の花が、砂丘の斜面を埋め尽くす光景は本物だ。
花びらが散って砂の上に落ちている様子も、なんとも言えない。
シーズン外に来ると、ただの荒涼とした浜になる。
それはそれで、悪くない。
余計なものが何もない分、海の大きさだけが残る。
夕方16時を過ぎると、光が横から差し込んでくる。
砂丘の影が長く伸びて、弁天社の鳥居が赤く浮かび上がる。
その時間帯に来られたのは、ただの偶然だったけど、忘れられない景色になった。
番屋の湯|漁師町の温泉で、砂と塩を落とす
弁天社から車で5分。
石狩市街に「番屋の湯」という温泉施設がある。
料金は大人700円。
タオルは別売りで200円だ。
浜で砂まみれになった後に入ると、体の芯から温まる。
ナトリウム塩化物泉で、塩分が濃い。
肌にぬるっとした感触が残って、上がった後もしばらく体が温かい。
露天風呂から空が見える。
石狩川の近くだからか、鳥の声がよく聞こえる。
食堂も併設していて、石狩鍋定食が1,200円で食べられる。
本場で食べる石狩鍋は、みそ仕立てで鮭がごろごろ入っている。
観光地価格じゃないのがいい。
地元のお年寄りが普通に使っている施設で、観光客向けに整えすぎていない。
そのくらいの温度感が、この町に合っている気がした。
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石狩弁天社への行き方
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