札幌から車で1時間ちょっと。 そこに、こんな山があったのか。 神居尻山は、道民にすら意外と知られていない。 でも冬に来ると、その静けさと白さに、言葉を失う。 雪に埋もれた登山道を踏みしめるたび、 自分の足音だけが世界に残される感覚がある。
神居尻山のおすすめスポット
神居尻山登山口|静寂の入口に、熊の爪痕があった
道民の森・神居尻地区から入山する。
駐車場は無料。
トイレも整備されていて、思ったより親切な山だ。
でも油断は禁物。
登山口の看板に、クマ目撃情報が貼ってあった。
日付は数週間前。
リアルな緊張感が走った。
冬季は12月から3月、雪山仕様で挑むことになる。
アイゼンは必須。
チェーンスパイクで来ていた人が途中で引き返している。
Aコース・Bコース・Cコースと3ルートある。
Bコースが最も人気で、往復4〜5時間ほど。
標高差は約700m。
数字だけ見ると大したことなさそうだが、
冬はまったく別の山になる。
出発は朝8時がベスト。
昼過ぎには雪が緩んで足元が崩れやすくなる。
早く動くことが、この山の流儀だ。
Bコース山頂直下|膝まで埋まって、それでも上を見た
樹林帯を抜けると、景色が一変した。
視界が、急に開ける。
尾根に出た瞬間、風が顔面に叩きつけてきた。
気温はマイナス12℃。
ゴーグルがなければ目を開けていられない。
山頂直下の急斜面は、トレースがほぼない日もある。
その日がそうだ。
膝まで雪に埋まりながら、ラッセルして進んだ。
30分かけて、わずか100mを登った。
しんどい。本当にしんどい。
でも振り返ると、増毛山地の稜線が広がっている。
白い山が、いくつも重なって見える。
その向こうに、うっすら日本海が光っている。
標高947m。
数字以上の達成感があった。
山頂に着いた瞬間、声が出た。
誰もいない山頂で、ひとりそびえ立つ感覚。
これを味わいたくて、また来てしまう。
下山後の月形温泉|体が溶けるように、湯に沈んだ
下山して、靴を脱いだら足の感覚がない。
そのまま車で15分。
月形温泉ホテルに飛び込んだ。
入浴料は600円。
安い。そして、効く。
ナトリウム塩化物泉で、ぬるっとした湯質。
冷えきった体の芯まで、ゆっくり温まっていく感じがした。
足の指先に血が戻ってくる感覚。
あの瞬間が、この旅で一番気持ちよかっただ。
露天風呂から見える冬の空は、もう暗くなりかけている。
雪がしんと積もった庭が見える。
誰も話さない。
ただ湯の音だけが聞こえる。
山とセットで来ないと、もったいない場所だ。
登山者には500円の割引券を渡してくれる日もある。
フロントで聞いてみる価値はある。
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神居尻山への行き方
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