積丹岳に登る人間は、たいてい変わり者だ。 真冬の北海道、積丹半島の奥地へわざわざ向かう。 標高1255メートル。 派手さはない。 でも山頂から見えた景色は、忘れられないままでいる。 日本海が白く光って、空との境目が消えかけている。
積丹岳のおすすめスポット
積丹岳登山口|ここから先は、自分の足だけが頼りになる
登山口に着いたのは朝7時過ぎだ。
気温はマイナス12度。
車のドアを開けた瞬間、顔が痛い。
駐車スペースには先客の車が1台だけ。
それだけで少し安心した。
夏道は整備されているが、冬はルートが変わる。
積雪期はスノーシューかスキーが必要で、ツボ足では話にならない。
膝まで埋まる。試した。後悔した。
登山口から山頂まで約4〜5時間。
コースタイムは条件によって大きく変わる。
雪が締まっていれば早い。
ふかふかの新雪なら倍かかると思っておいたほうがいい。
森の中を抜けると、視界が一気に開ける場所がある。
そこで初めて「ああ、来た」という気持ちになった。
積丹の山はそういう構造をしている。
ずっと我慢させて、最後に全部見せてくれる。
積丹岳山頂|1255メートルから見える、冬の日本海
山頂に立ったのは午後1時ちょうど。
出発から約5時間半かかった。
風が強かった。
サングラスをしていても目に染みる。
でも足を止めた。止めずにいられない。
日本海が見える。
白い稜線の向こうに、どこまでも続く海。
水平線がうっすら霞んでいて、空と溶けあっている。
積丹半島の形がはっきりとわかる。
シャコタンブルーと呼ばれるあの海の色が、冬はまた違う。
青というより、鈍い銀色に近い。
それが妙に美しかった。
山頂に人は誰もいない。
風の音だけがあった。
寒くて、静かで、広くて。
これを見るために来たんだなと、シンプルに思った。
下りは2時間半。
日暮れ前に登山口に戻れた。
ギリギリだ。冬山は早出が絶対条件。
積丹温泉 しゃこたん温泉|下山後の体が、ただ感謝している
下山してそのまま温泉へ向かった。
登山口から車で約40分。
積丹半島の先端近く、神威岬のそばにある。
しゃこたん温泉は日帰り入浴も受け付けている。
料金は600円。
体の芯まで冷えていたから、湯船に入った瞬間うめき声が出た。
恥ずかしいとか、そういう余裕はない。
泉質はナトリウム塩化物泉。
しっかり温まる系で、出た後も体がぽかぽかのままだ。
窓の外に海が見える。
さっきまであの山の上から眺めていた日本海が、今度は湯船から見える。
同じ海なのに、全然違う顔をしている。
冬の積丹は、観光客がほとんどいない。
混雑とは無縁だ。
それもまた、正直なところ悪くない。
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積丹岳への行き方
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