雪の重さで、木々が静かに頭を垂れている。 風もない。音もない。 美瑛富士の冬は、そういう場所だ。 標高1,888m。 十勝岳連峰の一座として、ただそこに在る。 華やかさはない。 でも、一度踏み込んだら忘れられない静けさがある。
美瑛富士のおすすめスポット
美瑛富士登山口|すべては、ここから始まる
冬の登山口は、思ったより静かだ。
駐車場に車は2台だけ。
夏なら登山者でにぎわう場所も、1月ともなれば別世界になる。
気温はマイナス12度。
息が白い。
ブーツの下で雪がキュッと鳴く。
その音だけが、自分がここにいる証拠だ。
登山口から美瑛富士避難小屋までは、夏道で約4時間。
冬は雪でルートが埋まるので、地形を読む力がいる。
ガイドなしで入るのは、正直おすすめしない。
最初の1時間は樹林帯が続く。
木の間から差し込む光が、雪面に模様を作っている。
きれいというより、息が止まる感じ。
この静けさに慣れるまで、少し時間がかかった。
美瑛富士避難小屋周辺|森林限界を抜けた先の、あの景色
樹林帯を抜けた瞬間、視界が一気に開いた。
ここが森林限界。
標高にして約1,500m付近だ。
空が、でかい。
十勝岳、オプタテシケ山、トムラウシ。
北海道の山が、ぐるりと並んでいた。
雪原の白と、空の青が、どこで境目になっているのかわからない。
写真を撮ろうとしたけど、画角に収まらない。
そういう景色だ。
避難小屋は冬季も使える造りになっている。
中に入ると、外とは別の時間が流れている。
しばらく誰とも話さずに、窓から山を眺めている。
風が強い日は体感温度がマイナス20度を超える。
レイヤリングは夏山の2倍以上で考えたほうがいい。
それでも、ここから見る夕暮れは、全部が正解になる色だ。
白金温泉|登山の後に、体が溶けていく
下山後、白金温泉に直行した。
足が棒になっている。
全身が冷えている。
宿のお湯は無色透明で、するりと肌になじんだ。
pHは約8.3のアルカリ性単純泉。
泉温は約60度。
露天風呂から見える木々に、雪が積もっている。
湯気と雪と、遠くの稜線。
美瑛富士がかすかに見えた気がした。
日帰り入浴は600円から1,000円程度。
タオルは持参したほうがいい。
温泉街は小さい。
コンビニはない。
夜は静かすぎるくらい静かだ。
でも、それが良かった。
山から下りてきた体に、あの静けさがちょうどよかった。
翌朝、また美瑛富士の山頂が見える。
白く、何も言わずに、そこにあった。
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美瑛富士への行き方
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