道路が終わる場所に、温泉がある。 看板もない。 建物もほぼない。 あるのは川と、湯気と、静寂だけ。 臼別温泉は、北海道の西海岸、せたな町の山奥に潜んでいる。 「本当にこの道で合ってるのか」と不安になりはじめた頃に、ようやく姿を現す。 そういう場所だ。
臼別温泉のおすすめスポット
臼別温泉露天風呂|川のすぐ横で、空を見上げながら浸かる
脱衣所は木の板張りで、鍵もロッカーもない。
貴重品は自己責任。
そういうルールで成り立っている場所だ。
湯船はひとつ。
川岸に掘ったような、素朴な石造りの露天風呂。
温度は43度前後で、かなり熱め。
ゆっくり足から沈めないと、最初はきつい。
目の前に川が流れている。
川の音しか聞こえない。
冬は雪が積もった木々が目の前に広がって、湯気の向こうに白い世界がある。
「ここに誰かが来てくれるために整備してるんだろうか」と思うくらい、手入れが行き届いている。
地元の方の管理があってこそ、成立している場所だ。
混浴。
水着着用可。
日によって他の入浴客と鉢合わせるし、誰もいない時間もある。
運次第、というのもまた、この温泉らしい。
臼別川沿いの雪道|人の気配がない、ということの豊かさ
駐車場から温泉まで、少し歩く。
整備されているようで、整備されていない道。
冬は踏み固められた雪の上を、慎重に歩く。
静かだ。
本当に静か。
風が吹くと木がざわめく音がして、それ以外は何もない。
携帯の電波は入らない。
ナビも途中で止まる。
地図を印刷して来てよかった、と思った瞬間だ。
川の水は透き通っている。
冬でも凍っていない部分があって、流れがはっきり見える。
夏と冬で、まったく違う景色になるらしい。
できれば両方の季節に来てみたい、と思いながら歩いた。
ここを「街歩き」と呼んでいいのかは分からない。
でも、歩くことそのものが、旅の本体だ。
そういう場所はなかなかない。
せたな町の国道229号線|日本海を横目に、海沿いを走る
臼別温泉への道中、国道229号線を走った。
この道が、すごかった。
左側にずっと日本海。
冬は鉛色の海が広がっていて、波が荒い。
トンネルを抜けるたびに、また別の海の顔が出てくる。
「雷電海岸」と呼ばれるエリアがある。
断崖と岩礁が続く、迫力のある地形。
車を停めてしばらく眺めた。
風が強くて、立っているのがやっとだ。
沿道に食事できる場所はほとんどない。
コンビニも数えるほど。
せたな町の中心部で食料と燃料を補給してから向かうのが正解だ。
走ること自体が、目的になる道。
北海道にはそういう道がいくつかあるけど、ここもそのひとつだ。
時間に余裕を持って走ってほしい。
モデルコース
臼別温泉への行き方
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