稜線に出た瞬間、風が顔を叩いた。 白い山並みが、どこまでも続いている。 芦別岳は、北海道の山好きが「いつか」と口にする山だ。 標高1726m。 簡単ではない。 でも、その分だけ、上に着いたときの景色が本物だ。
芦別岳のおすすめスポット
芦別岳|雪の斜面に、自分の足跡だけが続いている
登山口は富良野市街から車で約20分。
旧道コースと新道コースがある。
冬は新道コースが一般的で、往復約10〜12時間。
日の出前、5時には動き出した。
ヘッドランプの光の中、雪を踏む音だけが聞こえる。
誰もいない。
足跡もない。
その静けさが、少し怖くて、少し気持ちよかった。
標高が上がるにつれ、木がなくなっていく。
そこから先は、空と雪だけの世界だ。
稜線直下の急登は、アイゼンなしでは無理だ。
傾斜は40度近い場所もある。
頂上に立ったのは午前11時ごろ。
すぐ隣に夕張山地の山並みが見える。
晴れていれば、大雪山系まで見渡せる。
そのとき、風はない。
静かすぎて、しばらく動けない。
ユーフレ小屋跡付近|樹氷の回廊を、ひとりで歩いた
新道コースの序盤、標高900m付近までは樹林帯が続く。
冬のこの区間が、意外に良かった。
エゾマツやトドマツに、びっしりと霧氷がついている。
朝の光に当たると、キラキラ光る。
写真を撮るために、何度も立ち止まった。
ユーフレ小屋はすでに廃屋で、今は避難場所にもならない。
でも、その周辺の平坦地は風が弱く、休憩にちょうどいい。
ここで行動食を食べた。
パンが凍る前に、急いで口に入れた。
気温はマイナス15度前後だ。
水筒のお湯が、30分でぬるくなっている。
保温ボトルを2本持っていって正解だ。
樹林帯を抜けると、急に視界が開ける。
そのコントラストが、この山の好きなところだ。
息が切れていても、景色を見たら足が動いた。
富良野市街の夜|下山後の焼肉が、やたらうまかった
下山したのは夕方4時すぎ。
足が笑っている。
車のドアを開けたとき、脱力してシートに倒れ込んだ。
富良野市街まで戻り、地元の焼肉屋に入った。
「富良野牛」と書いてあるメニューを、何も考えずに頼んだ。
1人前1500円くらい。
口に入れた瞬間、じわっと旨味が出た。
疲れた体に、肉の脂がしみた。
正直、今まで食べた焼肉の中で一番うまい。
富良野には温泉もある。
「ラテール」や「山部自然公園太陽の里」が登山者に人気だ。
入浴料は600〜700円ほど。
体が冷え切っているので、湯船に入った瞬間に声が出た。
翌朝、筋肉痛で起き上がれない。
でも、またあの稜線に行きたい。
そういう山だ、芦別岳は。
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芦別岳への行き方
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