北海道

薫別岳

自然絶景

知床半島の付け根あたり、地図で見るとほとんど人が踏み込まない場所に薫別岳はある。 標高1000mにも満たない山なのに、冬になると別の惑星みたいな顔をする。 ガイドブックにも載っていない。 それがかえって、足を向けさせた理由だ。

Best Season 2月上旬〜3月上旬。 流氷が接岸するこの時期、山頂からオホーツク海が白く染まるのが見える。 積雪は多いが視界が安定する日も多く、冬の薫別を満喫するなら最もおすすめの時期。

薫別岳のおすすめスポット

01

薫別岳|誰もいない雪原で、熊の足跡だけが先を歩いている

標高は約981m。

数字だけ見ると物足りない気がするが、そんな先入観はすぐ消えた。

登山口に着いたのは朝7時前。

気温はマイナス12度。

車のドアを開けた瞬間、空気が顔に刺さった。

トレースはない。

前日の雪でぜんぶ消えている。

膝まで沈む新雪をラッセルしながら、30分ほど進んだところで気づいた。

足跡がある。

ヒグマだ。

こっちに向かってではなく、稜線のほうへ続いている。

ここは奴らの庭だと、改めて思い知らされた。

山頂手前の斜面、傾斜がきつくなる箇所でアイゼンを履き直した。

ここで1時間半は使った。

体感温度でマイナス20度は下回っている。

指の感覚が消えかけた。

それでも振り返ると、知床の稜線が白く光っている。

国後島の影もうっすら見える。

言葉が出ない。

寒くて声が出なかっただけだけれど。

■ 薫別岳 住所:北海道斜里郡斜里町(薫別地区) 登山口へのアクセス:JR知床斜里駅から車で約30分 入山料:無料 冬季は完全装備必須(アイゼン・ワカン・ピッケル推奨) 単独入山は避けること
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02

薫別川沿いのアプローチ道|林道が終わる場所から、本当の山が始まる

登山口までの林道が、冬は完全に閉鎖される。

ゲートから登山口まで約4km。

ここを歩くところから、もう山は始まっている。

薫別川の流れる音が左手に聞こえ続ける。

川は凍っていない部分も多く、黒い水が白い雪の中で異様に目立つ。

林道は緩やかに標高を上げながら続く。

スノーシューで歩いてちょうど1時間くらい。

途中、エゾシカが5頭ほど斜面を駆けあがっていくのを見た。

音もなく消えた。

このアプローチ道、正直なめている。

積雪が多い日は腰まで埋まる箇所もある。

撤退を決めるならここで決めたほうがいい。

山頂まで行ってから体力が尽きると、下山が本当に危ない。

林道終点の小さな広場でひと息ついた。

ここからが本番だが、ここまでですでに足が重かった。

冬の薫別は体力の消費が異常に速い。

カロリーメイト2本では足りない。

■ 薫別川林道(アプローチ道) 住所:北海道斜里郡斜里町薫別 冬季ゲート閉鎖期間:概ね11月下旬〜4月上旬 ゲートから登山口まで徒歩約60分(積雪量による) 駐車スペース:ゲート前に数台分あり
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03

薫別の集落跡|かつて人が暮らしていた場所の、静けさが重い

下山後に立ち寄った。

薫別には、かつて漁師や開拓民が暮らした集落の痕跡が残っている。

廃屋の柱が雪の中に突き出ている。

ガラスのない窓枠だけが残っている建物もあった。

誰かが住んでいた。

そのことが、妙にリアルに感じられる。

知床は世界遺産になってから、人の立ち入りが厳しく制限された地区が増えた。

それ以前からここで生きていた人たちの話が、頭をよぎった。

集落跡から海が見える。

オホーツク海。

2月なら流氷が来ているはずだが、この日はまだ沖に見えるだけだ。

それでも海の色が、本州とはまるで違う。

灰色と青が混ざったような、冷たい色。

薫別岳の山頂から見た景色より、この場所で感じた「時間」のほうが、じつはずっと印象に残っている。

山は変わらないが、人の暮らした跡は消えていく。

そのスピードが、冬の寒さと重なって見える。

■ 薫別集落跡周辺 住所:北海道斜里郡斜里町薫別 見学:自由(施設等なし) 近隣のコンビニ:斜里町市街地まで約30km 最寄りの宿泊施設:ウトロ温泉エリア(登山口から約40km)
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モデルコース

Day Trip 6:30 斜里町発 → 7:00 林道ゲート着・出発 → 9:30 山頂 → 11:30 下山開始 → 14:00 ゲート帰着 → 集落跡立ち寄り → 16:00 斜里町帰着
1 Night 【1日目】斜里町泊(前泊で体を休める)→ 翌朝6:30出発・薫別岳登山 → 下山後に集落跡と海岸を散策 【2日目】ウトロ温泉で疲れを抜く → 知床五湖の冬道(ガイドツアー)に参加 → 帰路へ
Travel Tips 冬の薫別は日没が早い。 15時には暗くなり始める。 山頂を踏むなら10時が絶対リミット。 ヘッドライト・非常食・防寒具の予備は必ず持つ。 携帯の電波はほぼ入らない。 入山時は必ず誰かに行き先を伝えておくこと。

薫別岳への行き方

ICカード利用可
Access Time
東京から 約11時間4分
水戸から 約11時間49分
前橋から 約12時間4分
高崎から 約12時間4分
甲府から 約12時間34分
備考 バス

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近隣の温泉地や市街地に宿が集まる。


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