マイナス15度の朝。 雪煙が舞い上がり、視界がゼロになる瞬間がある。 それでも足を止められない山が、北海道・鹿追町にある。 西ヌプカウシヌプリ。 アイヌ語で「山麓の山」を意味するその名前が、妙に腑に落ちた。 冬の然別湖を見下ろすとき、ここに来た理由がわかる気がした。
西ヌプカウシヌプリのおすすめスポット
西ヌプカウシヌプリ山頂|零下の稜線で、然別湖が眼下に広がる
標高1000m。
それほど高い山ではない。
でも冬はまるで別の顔をしている。
スタートは然別湖畔。
駐車スペースに車を止めたのは朝7時過ぎ。
気温はマイナス12度だ。
樹林帯を抜けると、急に風が変わる。
体感温度がぐっと落ちる瞬間がある。
そこからが本番だ。
稜線に出たとき、言葉が出ない。
眼下に然別湖。
凍りついた湖面が鈍く光っている。
空の青と雪の白だけが、ひたすら続く。
誰もいない。
静寂というより、無音に近い。
風の音だけが耳に残る。
山頂までのコースタイムはおよそ1時間30分。
トレースがあれば迷わないが、新雪の日は慎重に。
スノーシューかアイゼン必携。
軽アイゼンでは太刀打ちできない斜面もある。
然別湖コタン|氷上に建つ、一晩だけの村
下山後に立ち寄ったのが、然別湖の氷上に作られる「然別湖コタン」。
毎年1月下旬〜3月上旬限定で開かれる冬の祭典だ。
氷でできたバーがある。
氷でできたグラスで飲むホットドリンクがある。
そして、氷でできた客室もある。
宿泊料金は1人あたり約33,000円〜。
高い。
でも、あの体験に値段をつけるのは難しい。
夜、湖面の上に寝転んだ。
満天の星が、頭の上に落ちてくるようだ。
北海道の内陸部、標高810m。
光害がほぼない。
星の数が明らかに違う。
氷点下の夜に外に出るのは正直つらい。
でも防寒着を着込んで出てよかった。
あの星空は、部屋の中からは見えない。
然別湖畔温泉|登山の後に、湯気の中で力が抜ける
体が芯まで冷えたとき、この温泉のありがたさがわかる。
然別湖畔温泉は、然別湖のすぐそばに湧く単純硫黄泉。
においはほんのり硫黄。
湯温は41〜42度くらい。
熱すぎず、ちょうどいい。
入浴料は大人800円。
時間は何も気にしない。
登山で使った足の筋肉が、ほぐれていくのを感じた。
露天風呂から湖が見える。
雪が降っている。
湯煙と雪煙が混ざって、景色がぼやける。
それがまた良かった。
日帰り入浴は14時〜20時が基本。
ただし混雑日は早めに入るのがおすすめ。
登山帰りの15時頃、先客は3人だ。
ほぼ貸し切りだ。
売店でアイスクリームを食べている人がいた。
外は氷点下なのに。
北海道の人はやっぱり強い。
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西ヌプカウシヌプリへの行き方
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