知床半島の奥地に、その山はある。 標高1331m。アクセスも整備もほとんどない。 それでも冬になると、どうしても行きたくなる。 理由は簡単だ。 誰も踏んでいない雪原と、地平線まで続く白い世界が、ここにしかないから。
遠音別岳のおすすめスポット
遠音別岳|誰も来ない、だから本物の静寂がある
登山口に着いたのは朝6時。
気温はマイナス18度だ。
車から降りた瞬間、肺に刺さるような冷気が来る。
それが最初の洗礼だ。
ルートは明確ではない。
GPSと地形図を交互に見ながら進む。
トレースはゼロ。
完全な処女雪の中を歩く感覚は、少し怖くて、少し気持ちいい。
稜線に出たのは出発から約4時間後。
そこで、言葉を失った。
知床の山並みが全部見える。
羅臼岳、硫黄山、国後島まで。
空の青と雪の白だけの世界が、360度広がっている。
こういう景色のために、重い荷物を背負って来たんだ。
コンビニ飯のおにぎりが、山頂で食べると異常においしい。
それも含めて、遠音別岳だ。
アプローチルート|林道の先に、別の時間が流れている
冬の遠音別岳に向かうには、羅臼側からが現実的だ。
国道335号を走り、途中から林道へ入る。
除雪は一切されていない。
4WDのスタッドレスでも、油断するとはまる。
林道を歩き始めると、最初の1時間はひたすら樹林帯だ。
風がなく、雪が落ちてくる音だけが聞こえる。
静かすぎて、自分の呼吸が大きく聞こえる。
途中でキツネの足跡を見つけた。
朝早く、ここを歩いたらしい。
そういう発見が、山を歩く理由のひとつだ。
樹林帯を抜けると視界が一気に開ける。
標高900mあたりから、景色が本番になる。
ここまで来るのにかかる時間は約3時間。
体力的には中級レベルだが、道迷いリスクが高い。
単独行は避けたほうがいい。
冬山経験者と一緒が絶対条件だ。
羅臼の宿と温泉|体の芯まで冷えた後は、ここしかない
下山したのは午後3時過ぎだ。
足がガクガクしている。
真っ先に向かったのは羅臼温泉だ。
熊の湯は地元の人が管理する露天風呂だ。
無料で入れる。
ph値が高く、肌がきしきしするほどのアルカリ泉だ。
温度は熱め、だいたい45度前後。
冷えた体に一気に効く。
宿は羅臼市街に数軒ある。
1泊2食付きで8000〜12000円程度。
夕食にほっけや毛ガニが出る宿もある。
冬の北海道の海の幸は本当においしい。
夜、宿の窓から空を見た。
星がありえないくらい多かった。
光害がほぼゼロの場所だから、天の川が普通に見える。
遠音別岳の山頂と、この星空と、熊の湯。
3つそろって、やっと遠音別岳の旅が完成する気がした。
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遠音別岳への行き方
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