道央自動車道を降りて、ひたすら南へ走る。 人もコンビニも、どんどん消えていく。 たどり着いた先に、野塚岳がある。 標高1353m。日高山脈の南端に近い、地味な存在に見えて、 冬のその山は、息をのむほど静かで、白かった。
野塚岳のおすすめスポット
野塚岳登山口|ここから先、文明の音が消える
登山口に着いたのは朝6時半。
気温はマイナス12度だ。
車から出た瞬間、空気が顔に刺さる。
痛い。でも、清潔な痛さだ。
駐車スペースは4〜5台がやっと。
ほかに人はいない。
トレースも、昨日の雪に埋まっている。
ここから頂上まで、約4.5km。
コースタイムは登り3時間半ほど。
雪が深い日は、それ以上かかる。
準備に20分かけた。
スノーシューを付けて、ポールを出して、
アウターを確認して、やっと一歩を踏み出す。
その一歩が、妙に重くて、嬉しかった。
最初の樹林帯は風がない。
足が雪にめり込む音だけが続く。
この静けさが、野塚岳の本質だ。
稜線手前の急登|膝まで埋まる雪と、空の青さ
樹林帯を抜けると、風景が変わった。
視界が開けた。
日高の山並みが、横一列に並んでいる。
その白さが、朝の光を跳ね返している。
足元は一変して急傾斜。
スノーシューの爪を蹴り込みながら、
一歩一歩、高度を稼ぐ。
息が切れる。足が重い。
でも止まれない。
なぜかといえば、振り返るたびに景色が変わるから。
えりも岬方面の海が、遠くに光っている。
あの水平線は太平洋だ。
それが分かった瞬間、少し笑ってしまった。
急登区間は標高差にして約250m。
時間にして1時間ちょっと。
この区間が核心だ。
雪が締まっていればアイゼンが効く。
パウダーの日はスノーシューでも踏ん張れない。
天候と雪質を読んで、装備を選ぶこと。
それが野塚岳を登るうえで一番大事だ。
野塚岳山頂|1353m、誰もいない白い世界
山頂に着いたのは10時15分。
登山口から3時間45分かかった。
360度、遮るものがない。
北に日高山脈の稜線。
南にえりもの海。
東に十勝平野の白い広がり。
西には、何もない空。
風は強かった。
体感気温はおそらくマイナス20度を超えている。
手袋を外したら、5秒で指が痛くなった。
それでも、山頂に10分以上いた。
標識は小さくて、雪に半分埋まっている。
それがかえって、よかった。
飾り気がない。
この山のことが、好きになった。
下山は2時間ちょうど。
駐車場に戻ったのは12時20分。
誰かの車が1台、増えている。
今日、同じ景色を見る人がいる。
そう思ったら、少し嬉しかった。
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野塚岳への行き方
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